日記のお話まとめ

2017/03/25~2019/08/10までの日記に乗せた妄想文章群。


2019/08/10の日記
■会話ネタ。夢で見た内容が平和だったので、記録しておく。
鎖「うちのボスくれてやるよ」
刺「その代わり、俺らのオリジナル寄越してもらおうか」
鴉「はぁ!? お前たちぶっ殺…」
グ「おう! オレあっち行くぜ」
網「くーちゃん、こっちおいで」
鴉「くーちゃんって呼ぶなよ!! ふざけんな!」
網「残念だなぁ。僕はくーちゃんと一緒にいたいのに」
鴉「…じゃあ、そっち行く…」
ギ「なんだコレ…」
 
 
◆◇◆◇◆
 
 
2019/06/12の日記
■ネタ話
ギガ:成功クローン2体もいるのか。お前能力複製しやすいんじゃね?
グラ:てめェはクローン造るほどの価値の無い能力ってことじゃねーの?
ギガ:もっかい言ってみろ
グラ:やんのか? 受けて立つぜ
アミ:そこまで気にすることじゃ…
ギガ&グラ:お前のクローンが一番厄介なんだよ!!
 
 
◆◇◆◇◆
 
 
2018/10/10の日記
※アーミィとⅨ籠の死にネタというか心中ネタ。状況的に猟奇な部分あるけど描写表現は抑えてなるべく軽い文にしてます。アレな感じですがエロくはない。
 
真っ暗で何も見えない部屋。
両腕両脚の喪失。ただ生かされるだけの時間が過ぎる。
本当は始末されるはずだった。
でもそれをⅨ籠が最後の最後で拒否した。
それを組織は承諾した。再起不能にすることを条件に。
完全な暗闇の中では【TOOL】の能力はⅨ籠に効かない。【TOOL】よりも【影】の方が強かった。
人は長い期間何も無い空間にいると、廃人になる。それをぎりぎりの所で止めているのがⅨ籠の存在だった。
これは、肉体的にも精神的にも、完全な支配。
「…Ⅸ籠。いつまで僕を生かしておくつもり?」
「え? 何言ってんの? ずっとだよ?」
当然と言わんばかりの返答。
Ⅸ籠は特に何かをするわけでもなく、上からの命令が無ければずっと傍にいた。他愛の無い会話と、時々抱き寄せては髪を撫でたり甘えるように頬を寄せてくる。
そんな時間がゆるゆると流れる。
こうなる前は、あんなにも殺意剥き出しだったから、虐待でもされるかと覚悟していたが、そういうことも無い。刺さりそうなくらいに向けられていた殺気も今となっては微塵も無く、いじらしさを感じるくらい純朴な弟だった。
不思議なことに、こんな状況を不便に思うことはあっても、不満は無かった。
自分で意識していたよりもずっと、Ⅸ籠の事を信頼していたし、大切に思っていた。
 
ふと部屋に響く電子音。
「兄さん。呼ばれたから、行ってくる…」
Ⅸ籠が身を離して遠ざかっていった。
部屋の外から、話し声が聞こえる。
「それならオレの体使えばいいだろ!」
「お前の遺伝子では改変が酷すぎてクローンは造れない。塩基配列が特殊で…」
「そんなこと知るか! 兄さんにはあれ以上何もしないって約束しただろ!」
「悪いようにはしない。少しの間借りるだけだ。これは上層部からの決定事こ…」
「うるさい!!」
ばしゃ、と、何かをぶちまける音。悲鳴と共に遠ざかって行く、いくつかの足音。
血の香りと一緒にⅨ籠が戻って来た。
「大人って嘘つきだよね」
不貞腐れたような声。Ⅸ籠がどんな顔をしているのか、この暗がりでは分からなかった。
Ⅸ籠は多くのことに対して寛容で、自分自身に対して関心が薄かった。けれど、大切にしているものに干渉されることを嫌い、それが起きれば人が変ったように凶暴だった。その事をいくら諭しても、Ⅸ籠は弁解があやふやで、時には自分がしたことを全く覚えていないようだった。性格に大きな欠陥があることは、組織にも周知されている。その性格が災いして、親しくしていた部下を失っていた。
「何かあったのか?」
おおよその内容は会話から把握していたけれど、あえて訊いてみる。
「大丈夫。何があっても兄さんのことは守るから」
Ⅸ籠はそれだけ返事して、黙り込んだ。
十数秒ほど間をおいて、Ⅸ籠が髪を撫でてきた。
「…あの、さ。兄さんは、新しい弟が欲しい? …もし、欲しいなら…」
「Ⅸ籠だけでいいよ」
迷い無く返事をする。
もし次のクローンが成功したら、恐らく今のⅨ籠よりも従順で危険性の無い兵器にするはず。そうなったら、組織が手を焼いているであろうⅨ籠のことをどうするか分からない。
「そっかぁ…。兄さん、オレだけでいいんだ…」
ふふっと笑いながら、Ⅸ籠が小さく呟いた。すぐ隣で寝そべっているのか、ぱたぱたと足を動かす音がする。
「オレも兄さんがいればいい」
心底嬉しそうに声を上げて、抱き付いてきた。
抱き返してあげられる腕は無いから、代わりに頬を寄せた。
 
いつからか、Ⅸ籠が不在の時に部屋の外が騒がしくなるようになった。
Ⅸ籠が居ない隙を狙おうとしていることは十分に読み取れる。組織はどうしても新しいクローンを造る気のようだった。
早く何とかしないと手遅れになる。
自分には抵抗する方法が無い。【TOOL】の能力を使うことはできるが、自分で自分の身を守れないのだから、その隙を突かれる。
事が起きているときにⅨ籠が戻ってきたら、それこそⅨ籠は逆上して本気で暴れるだろう。そんなことになったら組織も強攻に手を下すに決まっていた。
Ⅸ籠と一緒に逃げるという選択も考えたけれど、事情を話せば確実にⅨ籠は業を煮やして組織に牙を剥く。組織と全面的に戦うのは多勢に無勢だった。
どう転んでも、八方塞がり。この部屋同様、光が見えない。
どうすればⅨ籠を守れるか、そんなことばかり考えるようになった。
 
あるひとつの方法を思いついた。
組織にクローンを造らせない、確実な方法。
Ⅸ籠を裏切る行為にも似た方法だったが、Ⅸ籠のためならどう思われても構わなかった。
真っ暗な部屋で、どこにいるのか分からないⅨ籠の様子を探るために意識を集中する。
「Ⅸ籠、頼みがあるんだけど」
「何なに? 何でも言ってよ!」
弾むような返事が返ってくる。
「Ⅸ籠、キスしてくれる?」
「え…」
少し離れた位置で、ごそりと身を動かすⅨ籠の気配。
思った通りの反応だった。でも、これを押し通さないと意味が無い。
「嫌だった?」
「あ…いや、えっと…。嫌じゃない…けど、オレなんかでいいのかな…」
Ⅸ籠が遠慮がちに抱き付いてきた。
静かに唇を重ねる。
舌先に触れる、歯ではない硬い異物。
やはり、あった。歯列の外側に。終わらせる最後の手段。
国家にいたときに自分もそうだった。万が一捕らわれた場合、相手に遺伝子情報を奪われないための、遺伝子を破壊する強力な化学物質。
深く求める振りをして、その小さな塊を抜き出すとすぐに噛み砕いた。
広がる苦い味。
「っ…」
Ⅸ籠が慌てて唇を離す。
「兄さん、それ飲んじゃ駄目!! 早く吐き出して!」
「ごめん、Ⅸ籠。…これしか方法が無かった」
「…何、それ…どういう意味?」
Ⅸ籠が震えた声を出す。
「…本当に…ごめん…」
「……」
暫しの間。暗くて、Ⅸ籠がどんな顔をしているのか分からなかった。
「兄さんがどういうつもりなのか知らないけど、それで自殺は出来ないよ」
「え…」
Ⅸ籠の話に、身体が強張った。
「それはオレの頭痛薬。戦闘中でもすぐ飲めるように入れてるだけ。正常な人が飲むと強い眩暈が起きるから、吐いたほうがいいよ。…自害用の毒はこっち」
Ⅸ籠がカラカラと口の中で音を立てる。
失敗した。逸る気持ちで冷静さを欠いた。
まさか常備薬を口に入れているなんて、そこまで考えが及ばなかった。
「ねぇ…。何で死のうとしたの?」
「……」
妙に冷静な口調のⅨ籠に、何も言えなかった。
沈黙が流れる。
静寂の中で、がり、と音がした。
「…Ⅸ籠…?」
「兄さんが死ぬくらいなら、代わりにオレが死ぬよ」
「それは…」
絶対に避けたかった最悪な結果になる。
もう、形振り構っていられる場合じゃなかった。
「Ⅸ籠って本当に馬鹿だよね!」
語意鋭く、大声を出す。
「考え方が幼稚で浅薄! 空気読むのが下手で、強気なくせに泣き虫で! 機嫌が悪くなるとすぐ暴力的になる!」
こんな方法でⅨ籠が釣れるかどうか、分からなかった。
「いつまで僕に執着してるつもりだ!? 早く殺せよ! お前のことなんか…嫌い…なんだよっ…!」
喉が引きつって言葉に閊えた。
でもそれは、急に大声を出したからではなかった。
「馬鹿なのは兄さんの方だよ。泣くくらいなら、無理に嫌なこと言わなくていいのに…」
「…っ…」
完全に遣り損じた。頭の中が真っ白で、機転の利いた次の手なんて、思いつかなかった。
「兄さんって、感情薄くて、何考えてるのか分かんないよ…。冷めた態度のくせに、自信家で強がりで、ひとりで解決しようとする」
溜め息混じりにⅨ籠が呟く。
不意に口に何かが触れる。舌を刺すような苦味を感じた。
「よくわかんないけど、兄さんの頼み事だから、聞いてあげるよ。今更ひとりにされるのも嫌だから、一緒にいくけど」
すぐ隣で寝そべる音がして、髪を撫でられた。
「おやすみ…」
 
その後の記憶は無い。
 
 
◆◇◆◇◆
 
 
2018/09/28の日記
※展示物にある「籠ノ鴉」小説の後の出来事なので、読んでないと意味不明な内容です。早い話が、我が家のⅨ籠は多重人格です。
 
もう我慢の限界だった。
あんな所に永い間閉じ込めておいて見て見ぬ振りして、存在してなかったことにしていたくせに。都合よく命令してきやがって。その命令を拒否したら、今度はこれだ。
「Ⅸ籠、落ち着け」
煩いくらい視界にたくさん映る白衣の研究員の中のひとりが、平静さを装って言った。
「うるせぇッ!!」
噛み付くような勢いで声を張り上げると、ジャラと手足の両手両足の枷が音を立てた。
研究員たちは一斉に半歩引いて、恐怖の混じった困惑の表情を濃くする。
「ふざけんじゃねぇ! 今更“俺たち”のこと、コキ使おうだなんて、ムシが良すぎんだよ!」
-腹が立つ。 もうどうでもいい。 死ね。 そうだ、全て殺せ。 やめようよ。-
複数の思考が絡む。この身体の主導権はひとりだけ。複数の思考があれど、行動の決定も得る記憶もひとりだけのもの。
許さない、みんなぶっ壊れろ。
「俺に従え…!」
念を込めて意識を集中させる。
ざわり、と場の空気が変り、研究員たちの足元の影がざわめく。
研究員たちはびくりと身体を揺らして虚ろな目つきになる。次々と歩み寄ってきて、壁に繋がっている枷を引っ張り始めた。
一般人の力で楔を引き抜けるものではないが、影の力で支配された研究員たちは自己抑制を完全に失っている。たいした筋肉の付いていない腕の筋繊維をぶちぶちと切らしながら引っ張っていた。
そんな研究員たちを、脆弱な奴らだなと心の中で舌打ちした。
ようやく左腕の楔が壁から抜ける頃には、研究員たちの腕は白衣の上からでも分かるほど腫れ上がって血が滲んでいた。
ひとつ抜ければ十分だ。薬で弱ってなけりゃ、わざわざこいつらにやらせる必要も無かった。
「…死ね」
再び研究員たちに言い放つ。
研究員たちは無表情のままそれぞれに動き始める。己の首を絞める者、壁に勢いよく頭を打ち付けて頭を潰す者、所持していた薬品を飲み痙攣をする者。ひとり、またひとりと倒れていった。
「ふん」
静かになった部屋で、右腕と両足の枷を引き抜く。乾いた音を立てて、壁の一部が砕けた。
手足に枷が付いたままだが、自由になれた身に満足する。
しかし気が晴れるわけではない。薬のせいで痺れが残っている身体で、すぐ近くに倒れていた研究員の頭を踏み潰した。薄皮の下の殻があっさりと割れて、中身が出た。
壁越しでも、部屋の外に人の気配を感知する。まだいっぱいいる。
-ぜんぶ壊していいよ。 勝手にしろ。 兄さんはいる? みんな殺せ。 もうやめて。-
「クロウ!」
声がして、赤い髪を逆立てた男が部屋に飛び込んできた。自害した研究員たちを見回して、目を丸める。
-知ってる。 知らない。 殺せばいい。 あの人は殺してくれる人。 …鎖?-
「てめぇ、また暴れやがったのか!?」
「鎖さん、まって」
赤髪が歪んだ表情を浮かべたとき、草色のニット帽を被った男が現れた。
「…ボス、迎えに上がりました。一緒に戻りましょう」
「誰だ」
問えば、2人の男は目を大きくして、互いに横目で目を合わせた。
「俺は刺斬です」
ニット帽の男が名乗る。
-知らない。 殺せ。 声を聞いたことがある。 どうでもいい。 刺斬だ。-
「怖い思いをしましたね。もう大丈夫です」
-大人は嘘つき。 もう閉じ込められるのは嫌だ。 兄さん以外は信じない。 騙そうとしてる。 早く殺せ。 本当に?-
腹が立つ。騙されるもんか。そういうやり口なのは知ってるんだ。みんな殺してやる。
気に踏み込んで、間合いを詰める。ニット帽の男の首に手を伸ばした。
「チッ…」
赤髪の男が舌打ちをする。ニット帽の男に手が届く前に腕を掴まれて、床に押え付けられた。
「殺してやるッ!」
「すんません、ボス…」
手に持っているのが注射器だと気付いても、どうすることもできなかった。
-次に目が醒めたらあの狭い所なの? 死ね、殺してやる。 眠っていい? 兄さんに会いたかった…。 もう疲れた。 …ありがと。-
「嘘つき…」
消える意識の中で、せいいっぱいの悪態を付いた。
 
 
◆◇◆◇◆
 
 
2018/09/28の日記
借りてきた猫のようだった。
ボスと呼んでも、Ⅸ籠と呼んでも反応しない。まるで何も聞こえていないかのように、余所余所しい態度をしている。
「どう思います?」
刺斬は、Ⅸ籠の顔を覗き込む鎖に声をかける。
「どうって言われてもよ。いつものⅨ籠の人格じゃねえってくらいしか…」
鎖はソファーに座って縮こまっているⅨ籠に視線を向けたまま立ち上がった。Ⅸ籠はそれを目で追うものの、何の表情も見せなかった。
「ボス、聞こえます? 返事してください?」
刺斬はⅨ籠に顔を近づけて、少し大きい声をだす。目と目が合うが、きょとんとした表情だった。
「耳に何か詰まってんじゃねえか? おい、耳貸しな」
鎖は言いながら、Ⅸ籠のヘルメットを取ると白銀の髪を掻き上げて耳の穴に指を突っ込む。Ⅸ籠は肩を窄めて目に薄っすらと涙を浮かべて震えていた。
「まって、まって鎖さん。ボスの様子がよろしくないっス」
「クロウは、耳が弱いのか」
「そういうの、やめましょう」
刺斬がジト目で鎖を見る。鎖はニヤニヤ悪戯な笑顔を浮かべながら、やや乱雑にⅨ籠の頭にヘルメットを被せた。
「どーしたもんかな」
鎖は息を吐きながら後ろ頭を掻いた。
「暴れるような危険性は無さそうですし、自然に戻るのを待ったほうがいいっスかね」
「催眠術だっけか? 術師が手叩くと、催眠術が解けるみてえに、元の人格に戻らねえかな」
「そんな都合よくならないスよ」
「こうやって、3! 2! 1!」
パン!
「鎖、うるさい」
「えっ?」
「…戻った…?」
 
 
◆◇◆◇◆
 
 
2018/06/18の日記
※テスト表示のために書いたちょっとしたお話。
 
「ねぇ、知ってた? 永久少年ってね、自分では死ねないんだ。殺されるまで、ずっと生きてるしかない」
「……」
鎖はⅨ籠の言葉に固まった。突然、何を言い出すのかと思えば、返答に困る内容だった。隣で茶を啜っていた刺斬も同じだったようで、ぴくりと身を竦めるのが気配で分かった。
「小難しい事考えてねえで、メシ食えよ」
この話題は流す事にして、鎖はⅨ籠から目を離した。
しかし、Ⅸ籠はどうにもその事を考えているようで、箸の進みが止まったままだった。
物事には終りがあるから、安心できる…なんて、そんな事を誰かが言っていたことを思い出し、鎖はⅨ籠へ目を向けた。
「ま、お前がどうしても、何もかも嫌になったってなら、そん時は俺に任せな。俺が生きてれば、だけどな」
鎖は他人事めいた口調で言うと、Ⅸ籠は目を細めて薄く笑った。
 
 
◆◇◆◇◆
 
 
2017/12/13の日記
※もし、刺斬がⅨ籠の部下になる前、アーミィの部下だったらっていう思い付き妄想。(執筆日:2018/04/09)
 
それは、良く似た、別のもの。
あの子はもう、ここにはいないのに。
 
「刺斬」
その声に、いつもドキリとする。
同じ声の、同じ呼び方。
それは同じ遺伝子をもった別の存在。
「それ、好きじゃない」
あの子は喜んでくれたけど、この子は違う。
考え方も違う、好きなものも違う、別人。
 
だけどこの子は、あの子の代わり。
 
頭を撫でれば、
あの子は「やめてよ」と、照れくさそうに笑う。
この子は「子ども扱いするな」と、手を払い除ける。
同じ顔で、違う表情を向けてくる、別人。
やはり、あの子ではないのだと認識する。
 
だからこの子は、あの子の代わり。
 
 
◆◇◆◇◆
 
 
※鎖とⅨ籠の小話。古いネタ。(執筆日:2017/09/27)
 
「これ、鎖に似てる。これ、なんて名前の動物?」
と、そう言ってⅨ籠が見せてきた写真には、雄々しいタイゴンが写っていた。
「コイツは、タイゴンだな。虎とライオンのクロスブリードだ。…ってか、俺に似てんのかコレ」
「どこにいるの?」
「一昔前には、動物を集めた娯楽施設があったみてぇだが、今はねぇだろうな。元々、コイツは自然に生まれるもんじゃねぇ。誰かの管理下でしか生まれない生き物だからな」
「じゃあ、オレと同じだ…」
何か共感するものがあったのか、Ⅸ籠はまじまじと写真を見つめていた。
その後、鎖は隊員たちの情報網を通じて、タイゴンのぬいぐるみを手に入れた。本物に比べたら間抜けなくらい可愛くデフォルメされているが、出来は良いものだった。それをⅨ籠に渡すと、Ⅸ籠は感じ入ったように抱きしめて、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で「ありがと」と言った。静かな態度からは分からなかったが、ぬいぐるみを片腕に抱いている姿をしばしば見かけるようになったから、気に入ってくれているのは間違いなさそうだった。
前線でぬいぐるみを抱えて真剣な顔で指揮する姿は、さすがに刺斬も口を開いて固まっていた。それが可笑しくて最前列で大笑いしてしまった。隊員の士気にも悪いだろうということで、何とかⅨ籠を言い包めて出撃の時には持って行かせないようにした。
 
 
◆◇◆◇◆
 
 
※刺斬とⅨ籠の割と殺伐。古いネタ。Ⅸ籠が多重人格であることに触れたかったんだけど小説に至らなかったもの。(執筆日:2017/09/25)
 
湿った空気に、ほのかに混ざるこの香り。
魚のような、鉄のような。良く知っている匂い。それに混ざって、くすくすと子供が笑う声がする。
刺斬は、食事の時間になったからⅨ籠を呼びに行こうとした。Ⅸ籠の所に向かう途中、さして広くも無い倉庫部屋の角で笑い声の主、思っていた通りⅨ籠の姿を見つけた。
足元には死体が2つ。ひとつは腹から内臓を引きずり出され、もうひとつは両手足を切り落とされて、Ⅸ籠はその背中を執拗にクナイで何度も突き刺していた。子供が無邪気に虫を潰すのと、何ら変わらない様子。
前にⅨ籠が言っていた「部下がみんな死ぬ」というのは、戦死ではなくてⅨ籠が殺しているんではないだろうか。そんな考えが浮かんだ。
こんな常識が通用しない強さの子供に、いつか自分も鎖も殺されるのだろうか。
Ⅸ籠が顔を上げて振り向いた。刃物のような視線と目が合う。まるで別人のような、いつものⅨ籠と違う顔付きに見えた。
どちらにしても、今、この子供を否定したら牙を剥いてくる気がする。
「気は済みましたか」
気負けしないように先に声をかけると、Ⅸ籠の表情は少しだけ和らいだ。
「お前は逃げないのか?」
いつもより低い声。こんな声だっただろうか。微かな違和感。
「どういう意味スか」
「ほとんどのやつは、オレを見たら逃げるぞ。逃げないやつは怒鳴る」
「ボスはどうして欲しかったですか?」
問いかけるとⅨ籠は一瞬だけ目を大きくした。何か言いたそうに口を開けたが、すぐに唇を噛んで目を逸らした。この行動をよく見かける。言いたいことを言ってくれない。この子供の本心を抑え付けているものは何だろう。その本心に、平気で人を殺してしまう理由が絡んでいるだろうに。
「お前、兄さんと同じこと訊くんだな…」
どこか遠くを見るような顔で小さく返事をして、興が冷めたと言わんばかりの溜め息をする。
「……」
刺斬は言葉を返せずに口を噤んだ。
 
 
◆◇◆◇◆
 
 
2017/12/13の日記
■会話ネタ■
アミ「う~ん」
ギガ「アーミィ何してんだ?」
アミ「足枷外したいんだけど…」
ギガ「溶接跡もねーし、どうやって付けたんだか…」
グラ「オレが重力で割ってやるぜ!」
アミ「本当に? じゃあそこの石割ってみて」
ゴシャッ!!
アミ「僕の足潰す気!?」
ギガ「お前、微調整できる能力じゃねーだろ!」
グラ「ごめん、無理だった」
 
 
◆◇◆◇◆
 
 
2017/09/29の日記
■会話ネタ■
刺斬「ボス、眠れないですか? 本読んで差し上げますよ」
Ⅸ籠「子供じゃないし…。そんなので眠れるか」
刺斬「不思議と眠くなるそうですよ」
Ⅸ籠「・・・じゃあ、読んでいいぞ」
-間-
刺斬「・・・そして、ヘンゼルとグレーテルは無事に家に帰ることが…」
Ⅸ籠「兄弟が仲良しで終わる話はやめろ!!」
刺斬「す、すんません…」
 
 
◆◇◆◇◆
 
 
2017/07/07の日記
■会話ネタ■
Ⅸ「オレの警戒範囲にカボチャを入れてみろ! 殺戮だぞ!」
刺「好き嫌いはダメです」
Ⅸ「オレの生体機能を狂わせる存在は滅びろ!」
刺「食べて滅ぼしましょう。明日はキノコです」
Ⅸ「視認できる大きさのカビなんか食えるか!」
刺「細かく刻んでカレーに入れます」
鎖(刺斬が強い…!)
 
刺「今日はナスです」
Ⅸ「刺斬いい加減にしろ! 死にたいのか!?」
刺「好き嫌いしてると大きくなれません」
Ⅸ「戦闘能力に問題ないだろ! 今ここでお前に証明してやる! 刀を抜け!」
刺「お兄様よりも背が高くなって自慢してやりましょう?」
Ⅸ「………食べる」
鎖(刺斬が勝った…)
-終-
 
 
◆◇◆◇◆
 
 
2017/05/17の日記
■ネタ会話■
鎖「クロウ何で別働隊に混じってんだよ」
刺「本隊の指揮して下さい」
Ⅸ「やだ。ジャックと一緒にいる」
鎖「しゃあねぇな」
刺「朝ご飯までに戻ってください」
鎖「ジャック、クロウ怪我させんじゃねぇぞ!」
刺「ボスの事頼みます。…くれぐれも傷ひとつ付けないように…」
ジ(保護者怖ぇ)
 
 
◆◇◆◇◆
 
 
2017/03/25の日記
■ネタ会話■
ボルテージ「お前と電源共有したい。結婚を前提に、付き合ってください」
エレチュン「血痕? 突き合うのか? 俺はどちらかというと(戦闘)タイプではないが」
ボルテージ「(そんな面と向かってタイプじゃないって言われるとは…。ショックでけぇ…)でも、諦める気は無いんだ」
エレチュン「そうか。それなら俺よりも、アーミィの方が適していると思う」
ボルテージ「えっ」
エレチュン「アーミィは攻守共にバランスがいい。万能タイプだし、冷静で臨機応変に動ける」
ボルテージ「(マジかよ、あのガキすげぇな)アーミィは俺のタイプじゃない…」
エレチュン「なら、グラビティ…は、突き合うのは難しいか。…ギガデリはどうだろう。自分では動かないタイプだが、周辺機が優秀だ」
エレチュン「(え、ギガデリってマグロかよ…)完全に生身の奴はちょっと…」
エレチュン「じゃあ、ホリックはどうだ? (戦闘)タイプではないかもしれないが、頼りになる。血痕は…、ホリックなら何とかしてくれるかもしれない」
ボルテージ「ごめんなさい勘弁して下さい。エレチュン以外はお断りしたい」
エレチュン「俺と突き合うのは危ないと思う。(オートガードシステムに敵と見なされたら)ボルテージを破壊してしまうかも…」
ボルテージ「(俺、殺されるほど嫌われてる!?)ま、まじか…」
エレチュン「それに、無意識にシールド展開するから、俺に血痕を求めるのは無理だ」
ボルテージ「(無意識? 本能レベルで拒否!?)何かよくわかんないけど、お前と付き合うのはハードルが高いということは良く分かった。・・・精進する」

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