夢のこと
存在するのかも分からない神に祈るより、事象操作システムを支配するほうが確実。そう考えた人間がいた時代もあった気がする。
願いの数に際限は無く、理想の高さに上限は無い。
願望は無尽で無辺。そんな欲の深さに底は無い。
嫌いじゃないよ、そういう人間が。
人間は人間が決めたルールすら破る。
己を愚かと嘲り、それでも己の信じた美徳を掲げる。
そういう矛盾したところ、好きだよ。
どんな願いも望むままに好きなだけ叶えるよ。
叶えてくれるかも分からない神たちに媚びて祈るより、簡単だろう?
他の何もかもが追い付けない最高で最良な理想のドラゴンになってあげる。
…だから、こっちにおいで。
・・・そう言った。
手を伸ばせばすぐ届くところにいながら、その概念の本質は遥か遠い何処かにある。