PLASMA擬人化


ネタ置場

絵とか、小説とか、ネタ話とか…
身内で盛り上がってネタ置場になったページです。
更新終了しました。下に行くほど古い。

◆2008/05/07
ジェノサイドから見た兄弟の感想。
白と黒と
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 とても仲の良い双児の兄弟。
 互いに遠慮無し。それでいて譲り合う。
 これが幼い子供だったら、微笑ましいのかもしれないけど。年齢が年齢だけに、いっそ苦笑いが浮かんでしまうくらい、仲が良い。
「君たちって、本当に仲良しだね~」
 そんな言葉をかけると、2人は全く同じ仕草で首を傾げる。
 返ってきた言葉は、2人揃って「兄弟なんだから当然です」だった。
 この施設の外では、兄弟同士でも家族でも赤の他人でも、殺し殺される事件が起きている事なんか、知らないんだろうね。
 その事を、少しだけ話してみると、2人の反応は面白いくらいだった。互いの顔を合わせて、抱き合うように身を寄せて、怪訝な顔でこちらを見上げる。
 挙げ句の果てには「誰に命令されて殺すんですか?」だって。僕の言う事疑ってる。おかしくて笑っちゃった。
 今、ここの、何も無い環境で、何も知らない方が幸せなのかな…なんて。
 兄弟や家族って、本来は、こんなのなのかなぁ…。


◆2008/01/15
うとうとしてたら、今度は悪魔が乗っていた(題名)
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「えぇ~と…。どういうつもりなのかな~? 悪魔君…」
 ジェノサイドは、今起きている状況に、軽い頭痛を感じた。
 ソファーの上で仰向けになっている自分の上には、困惑したような表情を浮かべる鉄翼の悪魔。血の気の淡い、屍体みたいな肌には、薄らと筋や骨が浮かんでいる。加えて、手術の痕やら何かの検査の痕やらが嫌でも目に付く。お世辞にも見た目の良い身体とは言えない。
 つまりは、裸。
 これから何をしようというのかは、察しがついた。
「いや…あの…。ですから、私は、博士に、感謝していますから…」
 たどたどしく、まるで子供の言訳のように、ぼそぼそと言葉を返す。
「あはは、感謝か~」
 別に、色事に興味が無い訳でもないのだけれど。何だか可笑しくて、ジェノサイドはくすくすと笑い始めた。
「私には、何も無いですから、これくらいしか…お礼が、出来ないです…」
 悪魔は、困惑した表情を、更に濃くする。無理をしているのが明らかに解った。
「それは、解るけどね~。僕も実験体だったし」
 ジェノサイドは、ふぅと息を吐いて、頭を掻く。
「まぁ、別にいいよ~?」
「それは…、どっちの意味で…」
「やめておきなよ、って事」
「はい…」
 安堵したような顔をして、悪魔はジェノサイドの上から下りると、そそくさと黒いボディスーツを着て、申し訳無さそうに振り向く。
 気まずいのか、いつもより鉄翼を小さく折り畳んでいるようだった。
「すみません…」
「何で、謝るかな~?」
「私、見た目の良い、身体では、無いので…、気分を、害されたのかと」
「君たちって、変な子だねー」
 あっけにとられて、ジェノサイドは大笑いした。
 一方、悪魔は目を丸くする、「君たち」の意味に気付いたらしい。
「シンセにも、ですか…」
「先日ね、弟君が、君と同じような事して、同じような会話したよ~」
「……」
 悪魔は、間の抜けた顔へと変えた。
「やっぱり、双児だね~」
「笑わないで下さい」
「うんうん、ごめんね~」
 頷きながらも、笑いの震動は止まりそうもなかった。
「もう、いいです」
 むっとした表情をして、悪魔は、隣の寝室へと戻って行った。
 ジェノサイドは笑い続けて乱れた息を整えて、ソファーに座り直す。
 さっきまでの笑顔を忘れたかのような真剣な表情で、黄色いゴーグルを外すと、蛍光灯の眩しさに目を細めた。
「実験体だからって・・・。兄弟揃って、何も無いだなんて、言って欲しくなかったんだけどね…」


◆2008/01/14
★ホリックの悩み相談室★
(キャラが微妙におかしくなってますので注意!)
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悩み相談者:シンセ・F・サイズドテクノさん(年齢不詳)
『兄よりも身長が高くて、何だか申し訳無い気分なんです』


解って無い。解って無いよキミ! 弟の方が身長が高いというのは、ステータス的にオイシイ事なのだよ。そんな体躯で可愛い言動をするのがギャップが良いという事を自覚したまえ。

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悩み相談者:ギガデリック/本名デリック・エイトさん(14歳)
『何か、ジェノ兄んトコに、変な2人がいんだけど?』


蝙蝠の置き物と、鷹の剥製さ。まぁ、気にする必要は無いのだよ。マスターは、君の事を一番に考えているのだからね。 も・し・や! 嫉妬しているのかな? 可愛い所もあるのだね。…あ、ちょ…暴力はやめ・・・

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悩み相談者:プラズマ・S・サイズドテクノさん(年齢不詳)
『淫乱だと、思われていて、不名誉なのですが…』


HAHAHA! 随分とローカルなネタだね。うずしおの身内しか解らないよ、そんな事は。
不名誉だと言っているけれど、キミたち実験体に、名誉も人権も無いのだよ。素直に諦めたまえ。いっその事、実験体としての楽しみ方を追求してみてはどうかな? HAHAHA!

◆2007/10/18

ゥワ…、ショタくさくなった…。兄はいつもアンニュイ。
プラズマつんは、身が細すぎな上に血色も悪く、手術の痕やら何やら色々あるので、自分の姿に劣等感を抱いてます。人前で肌を曝すのは好きではないようです。
きっと、弟の健康そうな姿を見て、嬉しい反面、自分にがっかりしたのではないだろうか。

兄の服がどういう構造なのか、解らねぇ!(笑)
もっと良く考えておけば良かったんだろうけど、今更ですよ。まぁ、兄以上に弟の服(?)の方が訳解らないですけど。
多分、見た感じからして、後ろ開きだろうなー。
うずしおとしては、ダイバースーツみたいなのを想定しているんですが、友人に聞いてみたら「アレだよ、ゼファーのリヒトみたいな、全身スパッツ。それの薄いやつ」と、返ってきた。
・・・そ う な の か !?(錯乱)

◆2007/10/17
A RI GA CHI
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「くっ…」

「兄さん、頑張って。ほら、もう一回」

「もう、無理…」

「そんな事、言わないで」

「明日、立てなくなったら、どうしてくれる」

「僕が、おんぶしてあげるよ」

「それは、嫌…だな…」

「最初にやるって言い出したの、兄さんじゃないか。文句言わないでよ」

「正直…。ここまで、辛いとは、思わなかったから…」

「体力、無さ過ぎだよ。僕、5時間くらいやってた事あるよ」

「お前と、一緒に、しないでくれ。私の方が…」

「文句言う元気があるなら、続けてよ」

「だから、もう、限界だと…」

「もー。仕方ないなぁ。また明日やろうよ、ね」

「脚が、痛い…。折れるかと、思った」

「大袈裟だよ。スクワット15回くらいで…」
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ありがちネタを披露(笑)
兄は筋トレを始めたらしいよ。

◆2007/10/05
兄の、幼い頃のコト・・・。
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 眠い。
 いや、眠いと言うよりも、怠いのか。
 身を起こせば、多少は目が覚める気がして、プラズマはのろのろと遅い動作で起き上がる。
 起き上がった時に、点滴の管が布団に引っ掛かって、点滴針の刺さった左腕に鈍い痛みを感じた。点滴はとっくに身体に流れ切って、管には血が少しだけ逆流している。
 長い間、寝ていたのかもしれない。
 何度目かの手術の後だったが、長く寝ていたのは初めてだった。
 点滴の針を抜いて、軽く伸びをしてみると、首の後ろから背中にかけて、肌の引っかかりを感じる。
 そっと首の後ろに、手を伸ばす。指先が、固いものに触れた。
 何であるかは解らないが、節の有る固い物体で、背骨の上に沿って付いているようだった。
 どうにかならないものかと、引っ張ってみても、取れる気配は無く。部屋の隅の壁に取り付けられている、さして大きくも無い鏡に、恐る恐る自分の背中を映してみた。
 思わず、息を飲んだ。
「骨…」
 だと、思う。黒い色をした背骨。
 確か、骨とは白い色であると、読んでいた本に書いてあった。
 自分の骨ではないと、すぐに解った。
 気持ち悪い…。
 重い足取りで、ベッドの端に腰掛ける。
 嫌に背中が気になって、金属製であるらしい黒い骨ばかり触っていた。
 研究員が部屋に入って来て、「起きたか」とだけ言った。そっと、プラズマの腕を取り、注射を打つ。
 また麻酔だろう。
 日を措かずに、また手術か。
 プラズマは、心の中でだけ、溜め息をした。
 僅かでも、嫌であると意思表示すれば、何をされるか解らない。そうならんよう、温和しく言う事を聞くしかなかった。
 次に目が覚めたら、自分はどうなるのか、研究員なら、知っているだろう。この、得体の知れない黒い骨の事も。
 訊けば教えてくれるだろうかと、プラズマはそっと研究員の表情を伺った。
 けれど、この先、自分がどうなるのか、空恐ろしくて、訊けなかった。
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肉体的にも精神的にも、自分の行く末が恐い、手術三昧生活。

◆2007/09/30
ジェノサイドのお手伝い中。
ふと思った悩み。
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 シンセは、並では無い人でも、到底は持てないであろう重さのある段ボール箱を、いくつも重ねて運ぶ。段ボール箱の中身は、ジェノサイドが使い終わって不要になった書類や、何に使うのか解らない物。
 今日は、ジェノサイドの大掃除らしく、必要な物と、そうでない物を分けて、それの処理を手伝っていた。
 シンセはずっと重い物を運ぶ役割であったけれど、全く疲れてはいなかった。
「ねぇ、兄さん…」
 ふと、思い立って、シンセは、ジェノサイドに頼まれている書類の整理をしている兄の傍へ寄った。
「どうした」
 プラズマは切れ味の良い刃の翼で、不要な書類を切り刻んで破棄している最中だったが、気を落としたような弟の態度が心配で、それを止めて弟と向き合う。
「あのね、僕、思ったんだけど…」
「何をだ」
 言い辛い事らしく、濁すような重い口調の弟を促す。
「ジェノサイドさんは、僕たちの身体を元に戻してくれるって言ってたよね」
「ああ。…それが、何か、問題でも、あるのか」
 兄の表情が疑問符を浮かべているのを見て、シンセはゆっくりと口を開く。
「本当に、元の身体に戻っても、大丈夫なのかな?」
「どういう、意味だ」
「僕、こんなに元気でさ、重い物だって持てるし。体力だってあるでしょ」
「良い事だと、思うが」
「兄さんだって、重い物持つ時に、その翼を使うでしょ。手の届かない所にある物を取る時にも使ってるし。…缶切り探すのが面倒な時、缶切り代わりに使ってるし…」
「それは…、そうだが…」
「今だって、シュレッダー代わりに紙切ってたし」
「シュレッダーに、入れるより、早いからな。つい…」
「僕たち、元の身体に戻ったら・・・今まで普通に出来てる事が、出来なくなるんだよ? 不便なんじゃないかなぁって…思って…」
「……」
「あのね、違うよ。元に戻りたく無い訳じゃないんだ。…僕、薬の依存症だし。兄さんだって…その姿じゃ普通の人と一緒には居られないでしょ。だけどね、その…、何て言うか…」
「いや、お前の、言いたい事は、解る」
 プラズマは、やや引き攣った顔で、俯いた。
 考えもしなかった…いや、考えたくなかったから、考えていなかった事だったという風な顔をする兄。
「…僕の考え、我侭かな」
「矛盾と言うんだ、そういう事は…」
 プラズマは、数秒くらい目を閉じて、ゆっくりと開いた。
「あらゆる物事に、代償は、付き物だろう」
「うん…」
「良い方に、考えてみろ。今の私たちの力は、言わば、研究員たちの、都合だ。無くなれば、清々すると思えば良い。それまで、精々この力を、使ってやろうじゃないか。不便だからこそ、人間なのだと…ここであった悪夢から、目が冷めたのだと、実感できるだろう」
「兄さんって、考えが深いのか、恬淡としてるのか、前向きなのか、退廃的なのか、分からないよね」
「褒め言葉として、受け取っておく」
 フフっと笑う兄に、複雑な笑顔をしつつ、シンセは段ボール箱を運びを再開した。
 けれど、気持ちはすっきりと晴れていた。
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兄さんって、ポジティブ思考だったんだね。

◆2007/09/09

下の絵がアレなのでワンクッションおく(笑)
弟はグミキャンディーが大好きである。
グミなら、どんなグミも好きだ。多分。
世は広い。ホントに色々なグミがあるワケで…。
天火神猫つぁんは、弟が腹黒いと信じてやまない。
私が思いも寄らない事を言ってくれる。弟は異常に鬼畜であると思っているらしい(笑)
心身共に兄を追い詰めるのが、楽しくて仕方ないと言う。
もう18金どころか、24金。純金レベル(笑)
さすが、貴腐人を越えた、主腐は違う。
腐女子のように表立ったテンションではなく、冷静に薄暗く腐っている(褒め言葉)
話を聞くたびに、兄が不憫な事に…(笑)

え? うずしおは、可愛い弟だと思ってますよ・・・。
弟とは、可愛いモンです。多少の無茶も我侭も許されるはずです。
基本的にキモい兄弟だから、もう、どうでも良い感じです(ヲイ)

◆2007/09/09

弟の方も晒しておくか(笑)
我慢できずに描いてしもうた。うずしおは自分に素直。
弟は、犬で。素朴で愛らしい柴犬な。耳垂れてるの。
犬は健気で従順なのが良か。
…腐ってて悪いな! 笑って許せ!(ヤケ)

◆2007/09/02

下の絵がアレなのでワンクッションおく(笑)
某交換日記の保守で描いた。
もし…、あのまんま弟殺してたら…、研究員が約束を守ったら…、施設から出てこんな感じだろう。
手が届く距離に日常があるけど、入れずに離れて。
身体の装置が故障するまで、死ぬにも死ねないし…。
もし、2人であのまま、出られたとしても、兄の方が寿命が長い…というか、弟の方が薬物多量摂取で寿命が短いから、結局、どっちに転んでも、こんな感じだろう。その前に兄の身体が故障したら、弟が残る事になるだろうけど。

…色々考えると、悲し過ぎるのでパス。
ジェノサイドに2人一緒に元の身体に治して貰って日常生活に戻れるのが、一番幸せな結末だと言える。
兄弟は、ジェノサイドに感謝してますよ(笑)

◆2007/09/01

兄は細い。
これは何の厭がらせか…(笑)
黒猫は、ちょっと可愛く無いくらいが可愛い…よ?(疑問系)
うむ、流石だ。このキモさ、核爆発級(悦)
違和感が有るのか無いのか、色々良く解らん淡い混乱を与える感じ。
これでこそ、ウチの子の裏本質!(基本的にキモい)

何もかも研究員の所為に違い無い(オイ)

◆2007/08/28
ジェノサイドに助けられてからの事…。
ギガと初接触…?(笑)
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「おい! ジェノ兄ー!!」
 怒鳴り声に、シンセは、がばっと勢い良く飛び起きた。
 部屋の外から、子供の声がする。
「兄さん! 兄さん、起きてよ!」
 シンセは、隣でまだ起きずにいる兄を揺すって起こす。
 プラズマは、誰が見ても解るくらい機嫌の悪そうな顔で、身体を起こした。
「誰だ。外で、怒鳴っているのは…。煩いな…」
「何か、ジェノサイドさんの事、呼んでるみたいだけど…」
「ジェノサイド博士に、用があるのならば、ジェノサイド博士の仕事部屋に、行けばいいだろう。ここは、隣の寝室だ」
「それを僕に言われても…。ねぇ兄さん、どうしよう。ジェノサイドさん以外の人に、僕たちが生きてるって知られたら、まずいよ…」
「ああ、そうだろうな。だが、黙ってやり過ごせば、いずれ、帰るだろう」
「そんな、無責任な…」
「私は、安眠が出来る、身体では、無いのだから、貴重な、睡眠時間を、奪わないでくれ」
「僕に言わないでよ…」
「…私は、眠い」
 ふいっと顔を背向けて、プラズマは、もぞもぞと布団の奥へと身体を潜らせて動かなくなった。
「兄さん…」
 シンセは、布団からはみ出た兄の骨組みだけの鉄翼が、ベッドの下に垂れているのを見て、溜め息をした。兄はもう起きる気が無いらしい。
 ジェノサイドに助けられてからすっかり気を許して安心したのか、それとも実験体として扱われていた頃に満足に寝ていなかった反動なのか、兄は寝ている事が多くなった。
「ジェノ兄、入るかんな!」
 外の少年はそう言った。
 シンセは、一瞬ドキっとしたが、この部屋のドアには電子ロックがかかっている。それに、兄と一緒にこの部屋に住むようになってから、ロック解除の番号も変更した。入って来れるはずが無い。
 はずが無いのだけど…。
 カキュン。
 明らかに、ロックが解除された音がした。
「あ、えっ…?」
 事態が解らずに、目を丸くするシンセの視界に、赤い帽子を被った少年が入った。一抱えくらいある、目玉のような物が、少年のすぐ傍に浮いている。
「あー?」
 少年は訝し気な表情を浮かべてシンセを見詰めながら、づかづかと遠慮なく部屋に入り、ベッドに座っているシンセの真ん前まで近付くと、腕を組んで見下ろすように顔を近付けた。
「見た事ねーな、お前」
「えぇっと、その…僕は…」
 どう答えて良いのか戸惑っていると、少年は隣で寝ている兄の布団をバサリと取り払う。
「あれ? ジェノ兄じゃねーのか」
 隣にジェノサイドが寝ていたと勘違いしたらしい。少年はふっと鼻を鳴らした。
「……」
 布団を取られた兄は、ゆっくりと身体を起こした。
 当然のように、不機嫌そうだった。
「何か用ですか」
 少々苛立った口調で、プラズマは少年を睨んだ。
「あ? お前らこそ誰だよ? 何でジェノ兄の部屋にいんの?」
「私たちは、ジェノサイド博士の、所有物だから、居て当然です」
「はぁ? 所有物?」
「ええ。私が、コウモリの置き物。こっちが、鷹の剥製」
「どう見ても違うじゃん!」
「何を言う」
「物が喋るか!! つか、人間じゃん!!」
「では、黙りましょうか」
「テメェ…!」
「喧嘩を、売る気か。ならば、買い…」
「ちょっと、兄さん!!」
 少年と兄がぶつかりそうになるのを、シンセは間に入って制した。
「兄さんは、もう寝てて!」
 シンセは、ビシッとベッドを指差して、兄に寝るように促す。起き立ての兄は、とにかく機嫌が悪いから、本気で喧嘩をしかねない。この少年が何者なのかは解らないけれど、お互い負傷するような事は避けるべきだと思う。
 プラズマはこくりと頷くと、弟に言われた通りに、のろのろと布団に潜った。睡眠の指示に対しては、幼子みたいに素直に行動するらしい。もしかしたら、半分寝ぼけているのかもしれない。
「ごめんね。起きたばっかりで、機嫌悪いんだ」
「あっそ。ま、別にいーけど」
 少年に謝ると、少年は表情を少し和らげた。見た目はちょっと恐そうだけれど、意外に寛容みたいだった。
「黒いの、お前の兄貴?」
「あ、うん、そうだよ。歳は同じなんだけどね」
「双児? 全ッ然似てねーじゃん。お前デカいし、黒いのは細いし」
「う~ん、そうだね」
「お前ら実験体だろ」
「え…」
 シンセは、顔を強張らせた。
「お前、薬の匂いがする。黒いのは消毒の匂いがした」
「あ…その…、僕は鷹の剥製だから、薬は…防腐剤…かな?」
「お前、ウソ付くのヘタ! どう見ても鷹の剥製って、有り得ねーじゃん。もっとマシなウソつけっての!」
「僕たちは、実験体じゃない…」
「じゃあ、何?」
「だから、その…鷹の…」
「それはもう、いーっつの!」
「私の、弟を、困らせないで下さい」
 声を荒げてきた少年を、淡々とした口調で、プラズマは言った。先程とは違って、何のわだかまりも無く身体を起こして、少年を見据える。
「お前、寝んのか起きんのか、どっちかにしろよ」
 少年は、呆れた顔をする。
「もう、十分に、寝ましたので」
「お前、さっき寝てから、まだ何分もたってねーじゃん」
「私の、睡眠は、不規則で、断続的ですから」
 プラズマの冷たいくらい冷静な物言いに、シンセは普段の兄に戻った事を知って、安心した。
「兄さん、僕ひとりで、どうしようかと思った…」
「フフ…。安心しろ。後は、私が、話をつける」
 薄く笑って、プラズマは、弟の頭を撫でると、少年の方に向き直った。
「貴方は、ジェノサイド博士から、私たちの事を、聞いていないのですか」
「あ? 何も聞いてねーよ」
「そうですか。では、ジェノサイド博士は、貴方に、私たちの事を、知られたくなかったのでしょうね」
「何でだよ?」
「それは、ジェノサイド博士の、事情ですから。私が、知るに及ぶ所では、無いです」
「そーかもしれねーケド」
「ここの事は、何も、見なかった事にして帰り、一切口外しない方が、賢明だと、思いますが」
「……」
「貴方は、ジェノサイド博士と、親しい間柄のようですが、ジェノサイド博士が、隠そうとしている事を、無理に、知ろうとするのは、ジェノサイド博士の心に、傷を付ける行為ですよ」
「そうなの?」
「ええ。貴方にも、親しいからこそ、ジェノサイド博士に、知られたく無い事が、きっとあるでしょう」
「そーだケド…」
「では、ジェノサイド博士の、気持ちも、理解するべきです」
「そか…」
 少年は、神妙な表情を浮かべた。
「んじゃさ。良くわかんねーケド、お前らは、ジェノ兄の友達みたいなモン? オレもジェノ兄の友達でさ、名前は…」
 と、言いかける少年の口元に、プラズマは人指し指を立てて添える。
「いつか、ジェノサイド博士が、貴方に、私たちの事を、話すかもしれません。その時に、私たちは、名乗ります。貴方の名前も、その時に、教えて下さい」
 目をパチパチとさせて、少々驚い様子の少年だったが、すぐに満足したようで、ニィっと歯を見せた。
「ああ、いいぜ。そうする」
 少年は、元気な笑顔を見せながら「じゃあな」と短く別れの言葉を残して、部屋から出て行った。
「兄さん、話すの上手だね」
「研究員と違って、言い包めれば、聞くと思ったからな」
「え? あの子、研究員の子じゃないの? ドアのロックも解除してたし…」
「いや、うなじに、番号があった。先頭番号が11。ジェノサイド博士と同じ、この地区の、実験体だ」
「兄さん見えたんだ、あんな小さい番号、この距離で…」
「この目は、無駄なくらい、便利に出来てるからな」
 苦笑とも自嘲とも見える、複雑な顔をした後、プラズマは軽く目を閉じた。
「そころで、ジェノサイド博士に、何の用だったんだろうな」
「何か、来た時の感じは、ちょっと怒ってたみたいだったね、あの子」
「私たちも、ジェノサイド博士に、黙っていた方が、無難だろうな」
「うん。そうだね」
 今日の少年の事は、ジェノサイドに悪いかなと思いつつも、黙っている事にした。
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急いで仕上げた話だから、ちょっと詰めが甘い内容だな…(苦笑)
しかも、思ったよりも長くなってしもうた。

◆2007/08/19
シンセが施設に拉致られて、間も無い感じの頃の話。
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「これ全部飲むんですか?」
 シンセは、不安げに研究員を見上げた。
 両手ですくい切れないくらいの、大量の薬が入っている容器を渡された。錠剤やカプセル、初めて見る形の薬。色とりどりの鮮やかさは、目には楽しいものの、身体には優しくなさそうだった。
 幼いながらも、異常であると思った。こんなに薬を飲めるものなんだろうか。
「残さず全部飲め。飲み終わって、体調が悪くなったら知らせろ。隣の部屋にいるから」
 研究員はそれだけ言うと、隣の部屋へと去って行った。
 シンセは、部屋の隅の洗面所でコップに水を汲むと、テーブルの前に立って、目の前の大量の薬に見入った。
 風邪を引いた時にですら、2粒くらいしか飲んだ事のないのに、何に効くのか解らない薬をたくさん飲むだなんて。
 容器の中に手を入れて、ザラザラと掻き回してみる。比較的飲み易そうな小さな薬を見つけて摘まみ上げると、口の中に放り込んで水で飲み流した。
 1粒1粒。なるべく早く飲んではいるけれど、一向に無くなる気配のない薬。段々と途方も無い作業に思えてきた。
 もし全部飲めなかったら、どうなるんだろうか。
 ふと、そんな思いが浮かんだ。
 コップになみなみと入れていた水も底を付いて、もう一度水を汲みに洗面所の前に来ると、手が滑ってコップが床に落ちた。
 ガシャン。
 甲高い音を立てて、コップが割れた。
 しまったと思い、シンセは慌ててコップの破片を拾い集める。
 割れたガラス片を集めている内に、脳裏に浮かんだ記憶があった。
 つい一昨日の事。
 この部屋に閉じ込められる前に、通った廊下。
 少しだけ開いていたドアの奥は、電気が点っていなくて。
 その暗い部屋の中にいた人。本当に人だったのかは解らないけど、一応は人の姿だった。
 長く乱雑に伸びた髪で良く見えなかったけど、首輪が付いていた。
 体中に青い痣の斑点。黒く固まった血の痕。
 折れそうなくらい細い手足には、枷が付けられていた。
 床の上を這う姿。
 床に爪を立てて、恐怖と絶望の混ざった目を見開いていた。
 もし…。
 薬を飲み切れなかったら。
 あんな風にされるのだろうか。
 心臓の鼓動が、早く大きくなるのが解った。
 シンセは慌てて、新しいコップを手に持つと水を注いで、テーブルの前まで走った。
 ガザっと片手で薬を掴んで口に入れ、無理矢理に水で流し込む。何度も、何度も繰り替えして、水が無くなれば洗面所に走った。
 やがて全部の薬が無くなる頃には、お腹が苦しくて、動けるような状態では無く。苦しさから軽い吐気もあったけれど、テーブルの上に腕を敷き顔を伏せるように乗せて耐えた。
 どのくらいの時間が過ぎたのか。
 お腹の苦しさが和らいできた頃、部屋に研究員が入って来た。
「全部飲めたか。良い子だ」
 研究員は空になった容器を見て、満足そうに笑った。
「前の実験体は薬を飲み切れなかったし、片割れの方も手術ミス。使い物にならなかったからな」
 そう遠くでも無い記憶を探っているかのように軽く目を閉じて、研究員が頷く。
「良い事を教えてやろう。どんな事があっても逆らわない、何を言われても文句を言わない、何をされても温和しくする。この3つだけ守っていれば、この施設では長生き出来るぞ。可愛がってもらえる」
「……」
 シンセは思わず、半歩くらい後ろへ退いた。
 研究員の言葉のあちこちから感じる恐怖。
 もう二度と、家には帰らせてもらえない事は、薄々気付いていた。だから「家に帰りたい」とは言わなかった。言えるような雰囲気ではなかった。
「研究員さん。あの…、プラズマ兄ちゃんは…?」
 兄が一緒にこの施設に連れて来られた事だけは確かで。別の部屋にいる事は知っていたけれど、どうしているかは全く解らなくて。堪らなく心配だったから、研究員に尋ねてみた。
 研究員は、一瞬止まったが、その後すぐに鼻で笑った。
「さぁな?」
 知っているのか知らないのかすらも答えてくれない曖昧な返事に、寒気がして、シンセは無表情のままに固まった。
 その様子を見て、研究員は溜め息をする。
「お前は、自分の事だけ考えていろ」
 研究員は、部屋から出て行った。
ひとりになったシンセは、その場にぺたりと座る。
「…っ、…兄ちゃん…」
 ぽろぽろと涙を流して、声を殺して泣いた。
 兄に会いたい気持ちだけが、積もり重なった。
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年齢は、1桁くらいの頃だと思う(適当すぎ)
シンセはちっちゃい頃、兄を「兄ちゃん」と呼んでいればいい(笑)

◆2007/08/16

「私に、女装の趣味は、無いです…」

研究員の趣味っていうか、うずしおの趣味(マテ)
意外に似合うなオイ!(爆笑)
寿々ちゃんのシンセと並んでも良いように、頭のリボンは逆側にしてみたぜ!
制御装置を外してるんで、このカッコで居られるのは10分くらいだな(笑)
翼はメンドイので、テキトーに(笑)

和名…2ヶ月前くらいに考えてました(笑)
プラズマ・S・サイズドテクノ
藤森聡真(ふじもりそうま)

シンセ・F・サイズドテクノ
藤森秦太(ふじもりしんた)

2人で…ふじもりそうた…(笑)

◆2007/07/29

…こう、ふにっとした頬が描けるといいな。
弟とは可愛いものだと信じてるけど。
友人の所為で、腹黒い弟ってな感じになりそうで…。
…腹黒い弟ってのも嫌いじゃないけど。
仲良しの方が良いなぁと思うけど。
腹黒っつーか、どうせなら無邪気攻めが可愛いと思う。

◆2007/05/20

弟に髪を短めに切られて、ちょっとショックな兄。
でも、弟には絶対文句言わない。
寧ろ「上手く切れたな」って、頭ナデナデするかもな。
弟に対して、幅広くデレスケ(茨城弁)

髪、短めがいいと言われたんで、短めにしてみた…よ!
…あまり変わって無いけど…!(ダメじゃんか)
そろそろ弟も描きたいナー。

◆2007/04/23

恋愛シュミレーションゲームって、殆どの人が妄想してるモノだと思う(笑)
研究員になって、実験体とラヴしようぜ!(爆)
初めにどこの地区の研究員になるか選択して上位研究員に昇格していくと他の地区にも行けるようになるとか、選択肢によって実験体と仲良くなれるグッドEDと、実験体が死ぬバッドEDと、複数の実験体と仲良くなる特種EDがあるとか、クリアレート(つまり実験体を落とすにあたっての成功率)が高いと、手荒な暴行しても多少は差し支えないとか、薬漬けにして落とす鬼畜道を突っ走る方法もあるとか・・・
…色々考えた(笑)
そんなうずしおは、恋愛シュミレーションゲームが苦手である…(淡)
ちなみに、上の絵のプラズマつんは、まだ自前の手がある頃な感じ。
あったらいいな、ゲーム(笑)

◆MEMO◆
プラスマのカチューシャみたいな制御装置、外すとどうなるの?
制御装置を外す⇒鉄翼の動きが悪くなる
2時間後⇒手足が痺れはじめる・翼が動かせなくなる
4時間後⇒身体が麻痺・思考能力低下
6時間後⇒呼吸困難
8時間後⇒呼吸停止
・・・ってな感じかなぁ?(適当)
何か、弟にも弱点が欲しいところ(ヲイ)

◆2007/04/12
研究員視点での、ちょっとしたお話。
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 私は第12地区の研究員。
 それ以上でも、それ以下でも無い。
 今回の双児は、無事に成功してくれた数少ない実験体で、あと数日後には、その結果が出る。双児のどちらがより優れた実験体なのか。
 私はその双児の兄の方の部屋へと行ってみた。時々には健康状態のチェックに顔を見に行っていたのだが、双児の戦闘が決まった日から、行く気が失せてしまっていた。
 なぜなら、結果を知っていたからだった。
 実験体の部屋のドアを少し開けて、私は手を止めた。
 双児の実験体が一緒に部屋に居る。
 その実験体が、互いに抱き寄せ合っているのを見た。
 悪魔と天使が仲良くなるという話が載っていた本を、ふと思い出した。結局破滅に終わった内容ではあったが。今、目の前の光景が、その物語の終盤のようで、嫌に印象に残った。
 兄弟は何か話をし、それから弟の方が部屋から出てきたから、私は開いたドアの影へ身を隠した。
 その時に、自分は何を思ったかというと「哀れだな」だった。
 恐らく、あの双児は互いの殺し合いに、躊躇っている事だろう。そんな気がした。
 私は知っていた。後日の戦闘では、一方的な戦いになる事を。
 愚かしい事だとは思う。昇格の為に実験を偽るだなんて。
 だが、私だって自分が可愛いものだ。上司に逆らう気などないし、昇格した暁に、私も部下として抜擢してもらえるのだから、この秘密は厳守していた。
 駄目だな12区は。もう駄目かもしれない。
 そんな不安も、何もかも、秘密にするしかなかった。
 弟が部屋を出てから、そっと部屋の中を覗くと、兄の方は顔を伏せて泣くのを堪えているみたいだった。
「どうしたんだ?」
 どうしたものか理由を知っていながら、あえて声をかけてみると、兄は首を振って「何でもありません」とだけ小さく答えた。
 私はそれ以上は詮索せずに、実験体の部屋から離れた。その時に、弟の方の後ろ姿が廊下の遠くに見えた。
 大泣きでもしているのだろうか。顔の辺りを両手で拭いながら、覚束無い足取りだった。
 別に、実験体に情が移った訳では無い。
 ただ、少し…。
 そう、ほんの少しだけ、この施設の全てが気に入らないだけだった。
 思った所で、何も変わらない事も知っている。
 私は研究員。
 ただ実験の成功を、成果を、探求するだけの職員。
 それ以上でも、それ以下でも無い。
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研究員一人ひとりにだって、考えがあるはず。
表に出せずに、秘めてる思いが。

勝手な語り。
エレクトロたちにも言える事だけど、成長できてる実験体は、言わばエリートな存在だと思うのよ。
実験の負担に耐えきれなかったとか、薬の所為で廃人になっちゃったとか、実験体同士の戦闘だとか…。何体もの実験体が死に逝く中で、生き残れるのは、とても凄い事なんだと思う。
…グラビティだけは特殊で、合成生物の数少ない成功例だし、重力を操れる能力があるから、割と大事にされてるみたいだけど(笑)
他の地区から、譲ってくれっていう要望もあるんだけど、7区はグラビティを手放す気は更々無いワケで。かといって、脳ミソ調べてみたり、重力能力のテストをするワケでも無く、ただの飼い殺し。非常に珍しい原石が見つかったから、大事に机の引き出しにでも入れておこう…みたいな感覚で、石を調べようとも磨こうともしない感じ。7区は変な自己満足な奇人変人研究員ばっかりだから(笑)
だけど、12区は研究熱心過ぎて、研究員同士の意見も反発する事も多々あって。実験体に過重な事をさせたり、一か八かの無謀な事もしてみたり。研究員同士の上下関係意識が強かったり。
双児の片割れが死んだら、もう片方も必要無くなるから、当然、処分されちゃうような感じで。結構、殺伐としてたかも。
研究員にも、色々事情があるのよ。実験体に八つ当たりする人も、情が移ってしまった人も居るだろうよ。処分の決まった実験体を、好きに殺したり、飼い馴らしたりしてるかもしれない。
研究員だって、人間だもの。研究に行き詰まって自殺…なんて事もあるだろうし、その反対で人の研究成果を妬んで殺した…なんて事も。
研究員との接触の多い実験体は、研究員の性格を把握して無いと不利。気に触るような言動をしてしまったら、怒られるからね。
プラズマは言い方がトゲっぽいから風当たりが悪いんだよな…。でも、愛想が悪ければ、研究員があまり寄って来ないから、そうしてるんだろうけど。シンセは言動が丸いから、研究員もそれなりの態度だけど、シンセもストレス溜まってるかもしれん(笑)

◆2007/04/09
それから後の、2人が回復したあたりの日常風景っぽい話(笑)
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「はい、悪魔君」
 そう言って目の前のテーブルに置かれた物を見て、プラズマは怪訝そうな顔をした。
 白い小さなプレートの上に乗っている物体を凝視するが、正体は解らず。いつもだった癖で、触感を確かめるのに、頬で触れてみた。
 ひんやりと冷たく、カサカサとした乾いた感じが、やたら不安にさせるような物体だった。
 触れたところで、自分には、もう機械ではなく、本当の自分の手がある事を思い出して、顔を上げる。
 その時に、ふわりと、柔らかい香りがした。
「……何、ですか」
「シュークリームだよ~。それは小さいのだから、プチシュークリームって言われてるけどねー。知らない?」
 不思議な物体を持って来た、当の本人、ジェノサイドは、首を傾げてクスクスと笑った。
「あ、ジェノサイドさん」
 浴室から、髪を拭きながら出て来たシンセが、ジェノサイドを見て嬉しそうに声を上げた。
「戦士君にも、シュークリームあげるよ」
 ジェノサイドに、プラズマの隣の席に座らされ、皿の上のシュークリームに、シンセはじっと見入った。指先で軽く押してみると、頼り無さそうな脆い感じがする。持ち上げてみると、脆い触り心地の割には、意外にも重量があるみたいだった。
「シュークリームって…兄さん、知ってる?」
「いいや」
 シンセはプラズマを見たが、プラズマは首を振った。
 プラズマとシンセは、お互いに顔を見合わせてから、ジェノサイド博士を見上げる。
 そのコンマ1秒も狂わない、精確な同時行動に、ジェノサイド博士は、プッと声を漏らした。
「もう、何年も味気ない薬ばっかりで、君たち、味覚オンチになってると思うんだよね~。本当はね、病み上がりの人には果物がいいんだけど、この施設じゃあ、なかなか手に入らないからねー」
 ジェノサイドの話で、何となくシュークリームが食べ物である事は察しがついたが、2人は手に持ったくらいで、それから先に進めなかった。
「薬じゃないからね、丸飲みしちゃダメだよ~? 噛んでから飲むんだからね。冷えてるうちに食べるのが、美味しいんだよ~? 早く食べてみて」
 ジェノサイド博士に促されて、2人は目を合わせ無言でタイミングを合わせてシュークリームを口に入れた。
 噛んだ時のクリームが出た瞬間に2人は顔を顰めたが、その後には、目を大きくしてお互いの顔を見て、笑顔を浮かべた。
思わず笑顔になるような、そんな感じ。ひやりと冷たい感覚が心地よくて、鼻に抜ける柔らかい香りがとても気持ちいい。
「『甘い』っていう味覚。思い出した? それで、食べて嬉しい気持ちになるのは『美味しい』ってコトだよ~」
 ジェノサイドは、口元ににっこりと笑みを浮かべて言った。
「ええ、懐かしい感じがします」
 目を細めて、プラズマが言う。
「何だか幸せになれそうな味ですね」
 シンセは笑顔をいっぱいに浮かべて、ジェノサイドを見上げた。
「この施設から出たら、君たちが今まで飲んでた栄養剤なんて、存在して無いも同前だからねー。ちゃんと食べ物を摂取できる身体にしておかないと、生きていけないよ~? 食べる喜びっていうのを味わって欲しいな~」
 ジェノサイドは満足そうに言うと、ククっと喉の奥を鳴らせる。
「明日は、『辛味』を教えてあげるからね~」
 そのイタズラっぽく笑っていたのを、2人は気付かなかった。
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ジェノサイドの教育風景(え?)
生きる上で、五感は大事だよね。
兄弟は、味覚オンチになってると思う(笑)
『甘味』の次に『辛味』を食わせようとするジェノの悪戯心に笑ってくれぃ(笑)

◆2007/04/05

ねぇ、生きてる? まだそこに居る?

拉致られて間も無いくらいって、こんなんだったらいいなぁ…っつー妄想。
この頃は、そっくりな双児であって欲しい(笑)
一卵性の双児でも、育った環境とか摂取した栄養で、性格も変わるし体格にも差が出るみたいだよ。ホクロの位置は、ほぼ同じらしいけどね(笑)

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