サントラ買った
アーミィは髪短め青赤オッドアイ、Ⅸ籠は髪長めやや三白眼金目っていう妄想。
公式のクプロだとアーミィは茶髪なんだよなぁ。でも『VJ ARMY』は白髪だから、こっちが本物だな、うん。Ⅸ籠も白髪だから間違いない。
弐寺のサントラ買い漁り。
18までしか持ってなかったので、19~24まで大人買い。ヒャッホーゥ!
ゆっくり聞いていこう。
サントラ買った
アーミィは髪短め青赤オッドアイ、Ⅸ籠は髪長めやや三白眼金目っていう妄想。
公式のクプロだとアーミィは茶髪なんだよなぁ。でも『VJ ARMY』は白髪だから、こっちが本物だな、うん。Ⅸ籠も白髪だから間違いない。
弐寺のサントラ買い漁り。
18までしか持ってなかったので、19~24まで大人買い。ヒャッホーゥ!
ゆっくり聞いていこう。
籠ノ鴉-カゴノトリ-
Ⅸ籠は9番目の成功作クローンだろうと、名前から思いついた妄想。
失敗作の兄たちと、キャッキャウフフしてるクロウちゃんのお話。
性格が歪んでるというか、狂ってるというか気持ち悪い弟なので要注意。
カゴノトリ
籠 ノ 鴉
1番目は死滅した。
2番目は脈打つ肉塊。
3番目は臓器が無い。
4番目は人の形をしていない。
5番目は呼吸をしていない。
6番目は不慮の事故で死んだ。
7番目は人格が崩壊してる。
8番目は目が覚めない。
9番目の【籠】から生まれたクローンは、想像以上に良い出来上がりだった。
だから、Ⅸ籠-クロウ-と名づけられた。
オリジナルを超えるのにも、十分な素質を持っていた。
8番目までは破棄する予定だったが、9番目の願いがあってそれを中止とした。
廃棄物になるはずだった8番目までは、9番目を逃がさないようにする【籠】となった。
【籠】が並ぶ、薄暗い部屋。
大切な兄たちと一緒に居られる時間は、Ⅸ籠にとって幸せの時間だった。
本当はこの部屋は立ち入り禁止だが、Ⅸ籠は上層部に兄たちの部屋に入る事を願い出た。
Ⅸ籠の出来の良さに満足している上層部は、それを許してくれた。
2人の兄はⅨ籠が物心つく前に死んでしまったが、まだ7人の兄がいる。
「兄さん。今日、オレに部下ができたよ」
Ⅸ籠は、8番目の【籠】の水槽にいる兄に話しかけた。
8番目の兄は耳がちゃんと付いてるし、目が覚めないだけで意識はあるはず。だから、きっと話を聞いてくれる。そう思って毎日あった事をお話ししている。
「名前は、えっと…鎖とかいったな。あと、さぎ…刺斬だったかな」
水槽の中で膝を抱えるようにして浮いている8番目の兄は、ゆっくりと呼吸を繰り返すだけ。
「鎖ってやつは態度悪かった。刺斬は自己紹介してくれた」
一方的な会話。
「あいつらの担当者が言ってたんだけど、あいつらもオレと同じに兄さんがいるんだって。でも【本物】の兄さんが【外】にいるって言ってた。本物ってどういう事かな?」
言葉は返って来ない。
「【本物】なんて言うとさ、まるで兄さんたちを偽物だとでも言うみたいで、気に入らなかった…」
それでもいい、聞いてくれていれば。
「兄さんたちだって、本物だよね!」
Ⅸ籠は声を大きくして、部屋に居る兄たちに声をかけた。
静寂の部屋は、何も変わらない。生命維持装置の音だけが静かに流れる。
「…ほら、やっぱり本物」
兄たちの無反応に満足して、Ⅸ籠はくくくと笑った。兄たちはいつも無言で肯定してくれる。なんて優しい兄たちだろう。
「そろそろ、時間だから行くよ。逃げた雑魚を消すだけだから、すぐ戻ってくるね」
Ⅸ籠は立ち上がって黒いマントを纏うと、部屋を出た。
Ⅸ籠が兄たちの部屋に戻ると、7番目の兄が奇声を上げていた。
「兄さん、どうしたの!?」
狭い【籠】の檻の中で暴れる兄に、Ⅸ籠は慌てて駆け寄った。
暴れる兄の手足は枷が当たって、うっ血していた。それを見て、Ⅸ籠は青ざめた。
「兄さんやめて! 血が…」
なだめようと手を伸ばしたら、引っ掻かれた。
「ご、ごめん! オレ、兄さんの気に障る事したかな? ごめんなさい…」
Ⅸ籠は静かに身を引いた。7番目の兄は怒りっぽいのか、時々喚き散らす。理由は教えてくれないから、きっと自分で悪いところに気付けという事なんだろうなとⅨ籠は思っている。厳しいけれど、本当はいい兄なのだと。
暫く暴れていた兄は、やがて落ち着いて横になった。ぶつぶつと何か言っているが、よく聞き取れない。
7番目の兄が落ち着いたのを確認すると、Ⅸ籠は部屋の隅にある棚から消毒液と包帯を持ってきた。
兄は手首も足首も、枷のせいで皮が剥けて血が出ていた。
格子の隙間から手を伸ばして、兄の手首と足首に消毒をする。枷が邪魔だったが、なんとか包帯を巻いた。
また痩せたな、とⅨ籠は思った。7番目の兄は、酷く痩せている。この兄は水槽に入っているわけではないから、他の兄たちと違って食事を摂らないといけない。
檻の中に置かれた食器に目をやると、今日も食べていないようだった。近頃すっかり食欲が無いから、心配でならない。
「兄さん。オレ、いい子にするから…、お願いだから食べてよ。明日の朝ご飯は、たくさん持ってくるからね」
そう声をかけて、Ⅸ籠は消毒液と包帯を片付けた。
5番目の兄は8番目の兄と見た目は同じ。けれど、呼吸をしていないから体中に循環器が付いている。
生き物は呼吸をしないと死んでしまう。でもこの兄は生きている。だから、それをとても凄い事だとⅨ籠は思っている。
自分は、命がけの任務をする事があるから、いつか死んでしまうかもしれないけど、この兄はきっとどんな攻撃を受けても死なないんじゃないかと思う。
「オレも、兄さんみたいに強くならないとね」
尊敬する兄だ。こんな兄をもって誇らしい。少しでもこの兄に近づきたくて、強くなりたいと思う。
2番目の兄の傍で寝るのが好きだった。
水槽に耳を当てると、生命維持装置の音と一緒に、鼓動の音がする。身体が小さい肉の塊だから、鼓動の音が大きく良く聞こえる。自分よりも少しだけ速く規則正しい脈打つ鼓動を聞いていると、とても安心する。
「兄さんと一緒に寝てるなんて、あいつらに知られたら笑われちゃうかな」
Ⅸ籠は、鎖と刺斬を思い出した。
「でも、あいつら、兄さんが【外】にいるんだもんね。一緒に寝た事ないんじゃないかな。可哀想だよね」
少し優越感に浸る。兄たちと一緒に居られることは、とても幸せなことだから。
「ねえ、兄さんもそう思うでしょ?」
水槽の中の肉塊に向かって声をかけて、無邪気に笑う。
Ⅸ籠は水槽に寄りかかって、眠りについた。
こつ、こつ、と、微かな音で、Ⅸ籠は目を覚ました。この音は4番目の兄が呼んでいる音だった。
4番目の兄はとても元気で、遊ぶのが大好きだ。
どこが頭なのかもわからない。腕なのか脚なのかもわからない、太さも長さも違うものが数本生えていて、それを水槽の壁に当てて音を出している。
「兄さん、遊びたいの?」
兄の前へ駆け寄って、声をかける。
兄はこつこつと、また水槽を叩いた。それに応えるように、Ⅸ籠も水槽を叩く。
そうすると、兄は別の場所を叩く、そこに合わせてⅨ籠も叩く。
何度か兄の叩く所を真似た後、今度はこちらから、別の場所を叩く。そうすると兄は叩いた所をたたき返してくれる。
4番目の兄はこちらの動きに反応してくれる。それがたまらなく嬉しい。
暫く続けていると、だんだんと兄の反応は遅くなり、疲れたのか動かなくなった。
「楽しかったね。また遊んでね」
3番目の兄は内臓が無い。だからⅨ籠はこの兄を病弱だと思っている。
「兄さん、身体の具合はどう? 少しは良くなったのかな?」
肋骨から下の腹は、中身が無いから潰れている。
眼球が無いから、瞼が窪んでいる。
脳が無いから、頭蓋骨が凹んでいる。
「早く元気になれるといいね」
水槽の壁に額を付けて、兄の快復を願った。
いつものように、7番目の兄の身体を拭いていたら、兄は突然発狂して右手の指を噛まれた。
「っ…、兄さっ…やめて、指は許して。刀が…握れなくなる…!」
指を食い千切られるのは困る。戦闘に支障が出る事になれば、上がうるさい。
兄の口から無理矢理指を引き抜くと、3本の指の付け根が青く変色していた。
「ごめん、ごめんなさい…。指はダメだけど、腕ならいいから」
Ⅸ籠は、指を隠すように握って、腕を差し出すと、兄は腕に噛み付いた。
食い千切られて、血が滴った。
腕の痛さよりも、兄を怒らせてしまった事の方が心が痛かった。
兄は食い千切った腕の肉を飲み込んだようだった。
それを見て、Ⅸ籠は気が付いた。
「そっか、兄さん、生肉が食べたかったんだね。だからご飯食べてなかったんだ」
嬉しくて笑った。
「良かった。兄さん、オレの事怒ってなかったんだね。ごめんね、もっと早く気が付けばよかった。お腹空いてるよね? 生肉持って来るから、いっぱい食べてね」
Ⅸ籠は立ち上がって、走り出した。腕から流れる血も痛みも、どうでもよくなった。
食料庫の責任者から鮮肉をもらって、Ⅸ籠は足早に部屋へと戻った。
適当な大きさに肉を切り分けて皿へ置くと、7番目の兄は食べ始めた。
Ⅸ籠は、檻の前に座り込んで、兄の食事を眺める。
兄がご飯を食べてくれて、本当に良かった。もっと早く気が付いてあげれば、兄はこんなに痩せる事なかったのにと、自分の不甲斐無さを責めた。
「クロウさん」
ふいに名を呼ばれて、Ⅸ籠はびくりと身体を揺らした。
振り返ると、部屋の入り口に、顎先にヒゲを生やした男が立っていた。
「刺斬…」
Ⅸ籠は目を細めた。慌てて部屋に戻ったから、扉を閉めるのを忘れていたことに気付く。
「さっき廊下を走ってたの見かけたんで。血痕あったし…クロウさんがそんな怪我するなんて思えないから、血痕辿って、様子見に来たんスよ」
「余計な心配だ」
Ⅸ籠は刺斬から目を逸らした。
「お世辞にも、健全とは言えないお部屋っスね」
「…え?」
思いも寄らなかった言葉を言われて、Ⅸ籠は刺斬を見上げた。
「俺のボスですから、言いづらいっスけど。…でもクロウさん、この部屋にいるのは精神衛生的によくないですよ」
「何だと! どういう意味だ!!」
Ⅸ籠は声を張り上げた。
その声に驚いたのか、7番目の兄が一声、叫び声を上げた。
「あ…。兄さん、ごめんね、うるさくしちゃって。こいつ追い出すから」
「兄さん? …それ、お兄さんスか。まさか、この部屋の全部…」
「出て行け!」
「…歪んでますね。もっと子供らしい部屋にお住まいかと思ってました」
刺斬が顔をしかめる。
「クロウさん、世の中にはね、死ぬよりも、生かされてる事の方が辛い場合もあるんですよ」
「うるさい!!」
何を言ってるんだ、この男。意味が分からない。
「罪悪感ですか? 自分だけ、五体満足で生きてるから」
「お前、さっきから何言ってんだ! 兄さんたちに失礼だぞ!」
「この部屋にいたら、いつまでも兄弟に縛られて、【籠】の中から出られないっスよ」
「うるさい! うるさい! お前、何なんだよ!」
もう我慢の限界だった。
「クロウさ…、おっと」
瞬時に間合いを詰めて一閃、刀を抜いた。刃先が刺斬の首筋を掠める。
「いい加減にしろ…。刺斬、これ以上は許さない。殺すぞ」
「すんません、ボス。言い過ぎました。お兄様たちへの御無礼を詫びます」
刺斬は溜息をして、両手を上げて降参の意を表した。
「もう戻りますよっと。腕、お大事に…」
去り際に刺斬がそう言った。そのときの目が、寒気がするくらい、哀しそうに見えた。
「あいつ、兄さんたちの事、馬鹿にしやがって…」
Ⅸ籠はぎりりと歯を噛んで、刀を鞘へ納めた。
「ねえ、兄さんたちは生きるのが辛いなんて事ないよね? 死にたいなんて思ってないよね? あいつの言ってる事おかしいよね? ねえ、そうでしょ?」
いくら声をかけても、兄たちからの返事は無い。聞こえるのは静かに流れる生命維持装置の音。
無言の肯定。大好きな兄たちは、とても優しい。
「くく…、あはは! そうだよね! あいつ、頭おかしいんだ! あはっ、あははは!」
Ⅸ籠は笑い声を上げながら、薄暗い部屋を走り回った。
それから1週間後、Ⅸ籠は【本物】の兄の存在を知らされた。
一番目の兄の前に存在する【本物】の兄は、弟たちを見捨てて【外】にいると教えてもらった。
見捨てられたという事が、酷く悲しかった。それと同時に、怒りがこみ上げた。
見捨てるような兄が【本物】なわけがない。あの部屋にいる兄たちこそが【本物】だ。
絶対に、許せない。
そう思った。
つづく
とりあえず日記絵だけ
日記の話題は無いけど、絵描いたからアップする。
日記とは一体・・・。
何してたんだっけ・・・
束縛するから人間嫌い。
実験するから人間怖い。
暴力するから人間憎い。
何か日記らしい話題があったはずなのに、絵描いてたら忘れる始末。
あ、思い出したかも。
バウムクーヘン食いてぇ。
・・・うん、違うな。
あの子
鎖に「グラビティ可愛い」って言わせたかっただけで思いついた話。設定も割と暫定。
ほんのり刺斬×鎖な風味。
「あー、グラビティ可愛い」
3人掛けの革ソファーに座り、背もたれにぐったりと身体を預けて、鎖はそう言った。
「可愛いんスか…」
刺斬は少し距離を置いて隣に座り、タバコに火を付けて呟いた。横目で鎖の方を見やると、鎖は赤い髪を垂らすように上を見上げてぼんやりとしている。
まさか鎖の口から「可愛い」という単語を聞くようになるとは、思いもしなかった。
鎖の言うグラビティと呼ばれている少年は、可愛いという言葉とは縁遠い、見た目通りの凶暴な子だ。
上層部が、鎖の闘争心を煽ろうとして、グラビティの存在を明かしたのだが、その思惑は大いに外れた。
鎖はグラビティに対して、一目惚れに近い状態になった。本人曰く、小動物に対する愛情のような感じらしい。それ以来、口癖のように「グラビティ可愛い」と漏らす。
「1000歩譲っても可愛いだろ」
「あれに譲れる余裕あるすんスか…」
刺斬は鎖と一緒にモニター越しで見たグラビティの姿を思い出す。偵察に向かわせた下っ端数名を次々と倒していく様は、どう頑張って絞り出しても可愛いという形容詞が出てこない。
けれど、あの少年は誰が見ても、鎖の幼い頃を彷彿する容姿だった。そう思えば可愛く見えなくも無いかな…と、思う。
「あー、可愛い…グラビティ」
物思いに耽るように目を細める鎖を横目で見て、刺斬は目を閉じた。
目が合っただけで殴りかかる事もある鎖を、ここまで骨抜きにするのだから余程重症なんだろうなと思う。恋煩いに似てる。そう思うと少し腹が立つ。…これは嫉妬かな。
「そんなに気になるなら、直接会いに行けばいいんじゃないスか」
「そんな事しちまったら、掻っ攫っちまうよ。【こっち】に連れて帰りたくなる」
「拉致っていいんじゃないスか? あの子、扱いは難しそうっスけど戦闘能力高いみたいだし、主戦力にするには申し分無い」
「赤ヘルぶっ倒して『TOOL』を奪えって教え込むのか? その赤ヘルの仲間なんだよ、あいつは」
「それは初耳っスね。…調べたんスか」
「クロウには黙っとけよ」
「分かってますって」
刺斬はタバコの煙を吐いて、ぼんやりと空間を見つめた。いくら話を聞いても、あの少年を可愛いと言う鎖を理解できなかった。
鎖はグラビティのクローンだ。
オリジナルに対して劣等感や羨望を感じるのならまだしも、可愛いと思うのはどういう事なのかさっぱり分からない。
文字通り血肉を分けた存在だから、何か惹かれるものでもあるのだろうか。
自分もクローンだが、オリジナルの事は何ひとつ教えてもらっていない。もし自分のオリジナルを知ったら鎖の気持ちが分かるのかなと、淡い期待をしている。
「赤ヘルの仲間だって事がバレるのは、時間の問題っスよ」
「ンなこたぁ分かってんだよ」
「殺せって命令きたらどうすんスか」
「さぁな」
鎖は吐き捨てるように答えて、タバコを咥えた。
「鎖さんがあの子欲しいなら、俺が捕まえてきますよ。クロウさんに感づかれる前なら間に合いますし」
「……」
「あのヤンチャっぷりだと簡単には捕まりそうにないスから、多少手荒にしますけど…そこは勘弁して下さいね」
「…いや、いい」
鎖はひらひらと手を振って、提案を断った。
「あっちで仲良くやってるみたいだしな。引き離すのは気が引ける」
「鎖さんらしく無いセリフっスね」
刺斬は溜め息をついた。欲しいものは何でも力で捻じ伏せて手に入れていた鎖を、ここまで変えさせるあの少年を変に意識してしまう。やっぱり、これは嫉妬だな。
「小動物でいいなら、何かペットでも飼ったらどうっスか」
「めんどくせぇ」
「世話なら俺がしますって」
そう言うと、鎖はこちらを横目で見た。睨む目ではない。
漆黒色の強膜に金色の瞳という特殊な目。他の連中は、この鎖の目を不気味で気持ち悪いというが、そうは思わない。
闇夜に浮かぶ月のような瞳。稚拙な自分にはどう表現していいか悩むが、率直に言えば美しい。
オリジナルの少年も同じように強膜が漆黒色だが、瞳は血の色をしているからそっちの方がよっぽど気味が悪い。
「……。めんどくせぇよ」
間をおいて、鎖がもう一度言った。
「やっぱ、面倒っスよね。ははは」
思わず苦笑い。鎖が思っている事が分かった。
クローンは捨て駒みたいなもんだ。しかもオリジナルと違って長くは生きられない。オリジナルを超えようとして、いろいろ弄ったのなら尚更だ。下手したら、ペットより先に死ぬ。そうなったら誰が面倒見るのか。
「おい、火ィ貸せ」
鎖がそう言って、刺斬の後ろ髪を掴んで引き寄せた。タバコの先を合わせて火を移す。タバコを吸うクセに、面倒だからとライターは持たない鎖は、いつもこうして火を点ける。
毎度の事ながら、この時の薄く開いた目で見下ろしてくる鎖の表情が、えらく煽情的で腹に重く響く。この事を本人に言ったら、死ぬほどぶん殴られそうだから黙ってる。
狭い部屋にむせそうなくらい甘い香りが広がる。鎖は見た目に似合わず、甘いタバコを好む。この香りは好きになれそうもない。
刺斬はしばらくの間じっとしていたが、やっぱり無理だった。鎖に詰め寄ってその両肩に両手を置く。
「すんません。堪え性なくて」
先に謝っておく。この方法に鎖が弱いのは知っている。殴られなくて済む。
「お前、30分後に招集かかってんだろが」
何をされるのか察した鎖が、怪訝な顔をして睨んでくる。
「構わないスよ。俺は鎖さんと違って、遅刻の常習犯ですし」
「チッ…。勝手にしろ。ただし、さっきの話はクロウに言うなよ」
「俺の口が堅いのは、鎖さんが一番よく知ってるはずです」
そう言って、鎖の口からタバコを抜き取って、自分のタバコと一緒に灰皿へ投げ捨てる。
そっと唇を寄せて舌を入れると、思いっきり舌を噛み付かれた。これも毎度の事。
でも2回目は素直に受け入れて、舌を絡めてくる。この不思議なパターンにも慣れた。
「俺は、鎖さんの頼みなら何でも聞きますから、遠慮なく言って下さいね」
「…ふん」
鎖が興味無さそうに鼻を鳴らして、そっぽを向いた。
その様子を見て、刺斬は笑った。この態度の意味も知ってる。
「好きにしろ」だ。
終わる
ふかい ふかい せかい
鉄の冷たさより、人の冷たさを知る。
それ、嘘だよね。
自分の為につくなら、うそつき?
人の為につくなら、やさしさ?
甘い言葉が一番汚い。
・・・うそつき。
不快 深い 世界
日常
エレチュンとギガデリとグラビティの話。
この内容は過去に書いた小説『TOOL』を元にした設定なのでご注意。
特殊な波長を感知して、エレチュンは目を開いた。
人間の感覚器官では感じる事ができないこの特殊な波長は、機器だけに影響する。
エレチュンはキャンセラーが効かないこの波長がとても苦手だった。
この波長を発している主を知っている。
だからこそ、エレチュンは早々にデータ整理を中断して、周辺機器と繋がっているコードを全て身体から抜いた。
急いで立ち上がり、24階の窓の縁に片足をかけ、背中に飛行用の翼を形成する。ナノマシンの身体にはこれくらい簡単な事だった。
飛び立とうとしたが、翼が機能せず落ちそうになり、エレチュンは寸での所で、身体を支えた。
飛べない訳ではない。正確には、飛ばせてもらえなかった。
「よう、どこ行くんだ?」
飛行機能を奪った、波長の主が来た。
エレチュンはゆっくりと振り返る。
赤い帽子の少年。その後ろには色とりどりの目玉型のメカが複数浮いている。
コード番号【11-173-NG】、名はギガデリ。特殊な波長で機器を操る特殊能力がある実験体で、一緒に『TOOL』から脱出したが、エレチュンにとっては不具合ばかり発生させられる超危険人物だった。
「で? どこ行くんだ?」
同じ質問をされる。
どこかへ行きたかった訳ではない。この場から逃げたかった。
どう返答しようか考えていると、ギガデリはちょいちょいと指をさす。
指さした先は、エレチュンがいつも座っている位置だった。
「聞きてー事あるから。座れよ」
エレチュンは無言で頷いて、ギガデリに従った。拒否したら機器を操る波長で無理矢理に座らされる。拒否権なんて無い。
ギガデリが腕組みをして、見下ろしてくる視線がとても高圧的に見えた。
「ジェノ兄、ここ来なかった?」
「来ていない」
ギガデリの問いに、エレチュンは即答した。
「じゃ、探せよ。あいつ生意気にも変な妨害電波使いやがんだよ」
「分かった」
言われるままに、エレチュンは目を閉じて、ジェノサイドを探し始めた。確かに高性能な妨害電波を感じる。
目的の位置を特定したのと同時に、通信が入った。当事者であるジェノサイドからだった。
-管理者君、そっちにギガ君行ってない?-
-来ている。ジェノサイドを探せと言われた-
-あはは、やっぱり? 管理者君、悪いけど僕の居場所はナイショにしておいて~。ヨロシクね!-
のん気にに笑いながら、ジェノサイドは通信を切った。
「まだ? お前の性能なら数秒で見つかるだろ?」
「…それは、言えない……」
「あー?」
ギガデリが目を細めた。
それを見て、エレチュンは目を逸らした。
演算処理が遅くなる。生体機能に誤作動を起こしそうになる。これを人間は「恐怖」と言うのだろうか。
黄色の目玉型メカが、ギガデリに向かって電波を飛ばす。
「分かってるっつの」
ギガデリは電波を飛ばした目玉型メカを一瞥して、再びこちらに視線を戻した。
「お前、ジェノ兄に口止めされたな?」
「!」
身体の人間部分の本能的なものが、そうさせたのだろうか。エレチュンは飛び上がるように立ち上がって走り出した。
しかし、部屋の入り口まで走って、がくりと床に両膝を着いた。壁に手を着いて倒れるのを防いだが、歩行機能もギガデリの支配下に置かれた。
エレチュンはその場に座り込んで、壁に向かったまま、立ち上がれなくなった。
「まだ話終わってねーじゃん」
後ろから威圧的な声がする。
「ま、お前、半分くらいは人間だし。これでも手加減してやってんだぜ?」
「手加減…」
エレチュンは掠れた声で呟いて、ギガデリの方を振り返る。
完全に主導権を奪っておいて、これを手加減と言うのか。
「口止めされたのは間違いなさそーだな。くそジェノめ」
ギガデリが舌打ちをする。
エレチュンに近づいてすぐ近くに胡坐をかくと、目玉型メカを抱えて、その上に頬杖を着く。
「言えよ。ジェノ兄どこにいんの?」
「言うなと、言われた…」
「あ、そ」
ギガデリが、眉を寄せる。
黄色い目玉型メカが、また電波を発した。
「だから、分かってるっつの」
ギガデリが黄色い目玉型メカを軽く手で押し退ける。少しの間考え込んで、口を開いた。
「機械は正直だ。命令は何でも聞く。ウソつかねーしな。でも、今お前が言わねーのは、ジェノ兄に頼まれたからだろ? 命令でもねーし。ジェノ兄は、お前のご主人様じゃねーぞ?」
「話の意味は解る。だが、命令と頼みの違いが解らない」
ギガデリの話に、エレチュンはこくこくと頷いた。施設に居た時は、命令しかなかった。
「ったく…。じゃ、オレからの命令だ。ジェノ兄の居場所を言え」
「ユーザーが異なるから、命令の変更はできない」
「お前・・・メンドクセーやつだな。頼まれごとされたくらいで、個別ユーザー認識してんじゃねーよ」
ギガデリは口の端を引きつらせた。苦い表情を浮かべ、がしがしと後ろ頭を掻く。
ふと、生体反応を感知して、エレチュンは壁越しに地上を見下ろした。この生体反応はグラビティのものだった。
「お、目玉の大将じゃねェか」
ふわりと、24階の窓の外からグラビティが入って来る。重力操作で地上からここまで跳んで来たらしい。部屋に入るなりギガデリに手を振った。
「ギガ様って呼べよ、黒白目」
ギガデリも軽く手を上げて挨拶を返す。
「おい、黒白目。こいつにジェノ兄の居場所吐かせろ。お前、仲良しだからできるだろ?」
ギガデリが、親指でエレチュンを指してグラビティに言うと、グラビティはきょとんとした顔で首を傾げた。
「ジェノサイド? アイツなら、さっき西の林にある空き地で何かやってたぞ」
「そーかよ」
ニヤリと笑みを浮かべたギガデリは立ち上がって、緑色と橙色の目玉型メカに顎で指示をする。2機の目玉型メカは西に向かって風のように飛び去っていった。
「どしたんだ?」
グラビティが不思議そうな顔をすると、ギガデリはふんと鼻を鳴らせた。
「くそジェノのヤツ、オレのお気に入りのチョコ食いやがった。激沈させてやる…」
凶悪な笑顔を浮かべる。その笑顔にエレチュンは目を反らしたが、グラビティはケラケラと笑っていた。
「ところで…。エレチュン、何でそこにいんだ?」
壁に向かって座り込んでいるエレチュンを見て、グラビティは首を傾げた。定位置に座っていない事を疑問に思ったようだった。
「今、立てないんだ」
エレチュンの返答に、グラビティが怪訝な顔をする。原因の予想がついたのか、ギガデリへ視線を向ける。
「エレチュンに何したんだよ?」
「逃げようとしたから、動けねーようにしただけ」
「んなっ…! やめろよ、そういうの!」
グラビティがギガデリを睨む。
電波を飛ばしていた黄色い目玉型メカが、ピコピコと跳ねた。
ギガデリは少し困ったような表情を浮かべ、跳ねている目玉型メカを見る。
「え、だって…。怖がらせるなって言うから…オレ、そーしてたんだけど?」
目玉型メカに言い訳をしてから、グラビティの方へ顔を向け、口を尖らせる。
「逃げようとしたからって、ぶん殴ってねーし。一部の機能停止はさせたけど、強制操作はやってねーじゃん」
ギガデリの言葉を聞いて、グラビティが顔色を変えた。唸り声を上げて牙を剥き出す。
「エレチュンを物あつかいすんじゃねェ!」
みしりと、空気が重くなった。
「あぁ!? だから手加減してやってたっつの!」
ギガデリの暗緑色の瞳が赤色に変わり、特殊な波長が強まった。
「潰してやる!」
「上等じゃん! 激沈させてやんよ!」
お互いに近寄って睨み合う。
「喧嘩はやめてくれ」
エレチュンは、2人に向かって声をかけると同時に睨まれた。
「エレチュンは下がってろ!」
「おとなしくしてろ!」
「……」
2人に怒鳴られ、エレチュンは固まった。
何故、こうなってしまったのか。ギガデリの目的はジェノサイドの場所の特定だった。これはグラビティの発言で解決したのに。
グラビティが怒った原因を解決すればいいのかと思い、エレチュンはグラビティを見上げて、注意を引くように手を振った。
「俺はマザーコンピュータとして使われていたから、物扱いされるのは慣れている。だから怒る事は…」
「慣れてるとかの問題じゃねェだろ!」
「……」
グラビティに怒鳴り返されて、エレチュンは手を上げたまま固まった。
何がいけなかったのか。グラビティは施設に居た時に、束縛や強要されるような扱いをされていたから、こういう事には敏感なのかもしれないと、ひとり納得して、エレチュンはまた考え込んだ。
次にどう言えばいいのか、エレチュンが悩んでいる内に、2人はお互いに攻撃を始めた。
『TOOL』でもトップクラスの実験体同士のぶつかり合いは、手加減をしているとはいえ激しいものだった。
あっという間に廃ビルの壁にヒビが走り、そこからコンクリート片が零れ落ちる。
ギガデリの黄緑色の目玉型メカから発するレーザーを、グラビティは野生的な感で察して、圧力をかけて軌道を逸らせる。レーザーで破壊された壁のコンクリート片を重力で操り、ギガデリに向けて飛ばす。
ギガデリに当たりそうになるコンクリート片を、桃色の目玉型メカが空間に半透明のシールドを形成して弾き返した。
「どうしよう…」
エレチュンは暴れる2人を止める方法が思いつかなかった。
この2人は頭に血が上ると、言葉では落ち着かせられない。2人の間に割って入りたかったが、今はギガデリに歩行機能を停止させられているから立ち上がれない。
無意識に『TOOL』の自己防衛システムが不可視のシールドを展開して、飛んでくるコンクリート片やレーザーからエレチュンを守る。
天井は上の階ごと消し飛び、壁は全て崩れ落ちて鉄筋だけが残る。その鉄筋もグラビティの重力でバネのように縮んだ。
エレチュンはいつも使っている周辺器たちが、潰れて壊れたり、はるか地上へ落ちていく様子を見て、また自分の一部のナノマシンから周辺機を作り直さないとと思いながら、ぼんやり見ていた。データのコピーを自分に移しておいて正解だった。
程なくして、24階は屋上のように開けた空間になった。
床にも亀裂が入り始めたころ、西の方から電波を感じて、エレチュンはギガデリの方を見た。波形からして、ギガデリの緑色の目玉型メカからのもので間違いない。
「くそジェノ! 逃げやがったな!」
その電波を感じ取ったギガデリが我に返る。
「お前ら、追うぞ!」
言うが速いか、ギガデリは水色の目玉型メカの上に飛び乗り、目玉型メカたちを引き連れて西の方へ飛んでいった。
「なんだよ…」
取り残されたグラビティは、ぼそりと呟く。周りに浮いている瓦礫が元の重力に戻って、ガラガラと床に落ちた。
エレチュンはギガデリの特殊な波長から解放されて、立ち上がった。身体に損傷箇所は無さそうだった。
微かに花の香りがする風が、この状況を思い知らせるように吹いた。壁も天井も無くなって、風通しが良くなったと笑って済まされる状況ではない。
「……」
「……」
エレチュンとグラビティは辺りを見回して、お互いに目を合わせた。
「アーミィ、…怒るよな?」
「その可能性は極めて高い」
「……」
「……」
その後2人は、アーミィが戻るまで、無言の時間を過ごした。
終わる