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管理者

エレチュンとアーミィのお話。
この内容は過去に書いた小説『TOOL』を元にした設定なのでご注意。


 それは、獣の咆哮に似ていた。
 夜の廃墟の街に響く、叫び声。地響きと轟音。
 仕事から戻ったアーミィは、闇夜に目を凝らし、声の主を探そうとした。
 常人なら暗闇で見えないだろうけど、アーミィには時折、遠くでビルが崩れていくのが見えていた。
 ビルを破壊するほどの力を持った何かがいる。
 こんな時に限って仕事の都合上、通信機を持たずに出かけてしまったものだから、エレチュンと連絡が取れない。
 声の主は確認できなかったが、アーミィはエレチュンとグラビティの安否が気になり、急いで2人のいるビルへ向かった。
 廃屋ビルの24階の一室。いつ誰に襲われるか分からないから、夜になっても明かりは点けない部屋に戻ると、エレチュンは大量の機器が置いてあるいつもの定位置に座らずに、ガラスが割れて無くなった窓から身を乗り出すように外を見ていた。
「アーミィ、お帰り」
 アーミィを感知したエレチュンが振り返る。その落ち着いている様子を見て、アーミィは安堵した。
「あれは何? グラビティはどこ?」
 エレチュンに駆け寄り、すぐに質問をする。
「あれ…が、グラビティだ。今は近づかないほうがいい。重力操作しながら暴れている」
 そう言ってエレチュンは、再び窓の外へ視線を向ける。
 アーミィは身軽な動きで窓の縁に飛び乗り、身を乗り出した。
 死んだ街には明かりひとつ無い。遠くに雷のような閃光が見え、地響きがするのが伝わってくるが、グラビティの姿を見ることは出来なかった。
 アーミィは暗視スコープを取り出して外を見たが、グラビティの重力操作で空間が歪んでいるらしく、やはり姿は見えなかった。
 エレチュンを見ると、エレチュンは神妙な面持ちでじっと一点を見つめている。
 エレチュンの機械の目にはグラビティの姿が見えているのだろう。
「どうして、あんな…」
 アーミィの言葉に、エレチュンは少し言いづらそうに顔を歪めたが、ゆっくりと口を開いた。
「グラビティは、施設に居たときに、依存性のある成分が含まれた食事をさせられていた」
「え…?」
「それを得ることが無くなったせいで、時々発作のような症状がでる。今まではアーミィが出かけていた時に起きていたから、アーミィが知らないのも無理は無い」
 エレチュンはアーミィの赤いヘルメットに手を置いた。
「どうにかしてあげたいが、落ち着くまで待つしかない」
「……」
 エレチュンの辛そうな顔を見て、アーミィは何もいえなくなった。
「グラビティには、この事は言わないであげてくれ。きっと、ショックを受けるだろうから」
「うん」
 アーミィは頷いた。
 せっかく施設から逃げ出して、自由になったのに。
 未だに見えない檻から出られないのかと、アーミィは思った。
 獣に似た叫び声は、怒っているようにも悲しんでいるようにも聞こえる。
 普段から野生動物っぽい所があるグラビティだが、あんな声を聞くは初めてだった。
「…僕は…」
 言いかけて、怖くなった。
 もし、自分もグラビティと同じだとしたら、いつかああなってしまうのだろうか。
「大丈夫。アーミィにはそういう記録は無い」
 アーミィの言葉の意図を汲んだエレチュンは、しっかりとした声で答えた。
「そう…」
 アーミィは嘆息交じりに頷いた。安心はしたが、気分は晴れなかった。
「僕たち、本当に…『TOOL』から逃げられて、自由になれたのかな?」
 アーミィが呟くと、エレチュンはグラビティから視線を外さないまま目を大きく見開いた。
 その様子を見て、アーミィは感づいた。
 エレチュンはアーミィの視線に居心地悪そうに身じろぐ。
「エレチュンは、知ってるんだね」
「それは…っ」
 アーミィの言葉に、エレチュンは何か言いかけて自分の喉を押さえた。
「言えないように、プログラムされているんだ」
「…その…事に、関して…は、…っ」
「無理しなくていいよ」
 苦しそうに声を出すエレチュンを気遣って、アーミィは体温のあまり感じられないエレチュンの背中を撫でてやった。
「…すまない。俺は、『TOOL』に逆らえないから」
「うん、分かってるよ」
 アーミィは頷く。エレチュンは絶対に嘘は言わない。
 『TOOL』の管理者は、誰よりも『TOOL』に支配されている。
 きっと、『TOOL』の施設を再建しろと命令があれば、いくら嫌でも無理やり実行させられてまうんだろうなと思う。そういう身体にされているのだから。
 管理者ですら未だに囚われているのだから、管理されていたモノたちも当然囚われたままなのだろう。
 施設が無くなっても、『TOOL』はエレチュンの中に存在している。
「聞いてもいい?」
 アーミィはエレチュンに顔を寄せる。
「俺に答えられる事なら」
 エレチュンはアーミィを見て、再びグラビティの方へ視線を戻す。
「『TOOL』って、本当は何なの?」
 施設自体を指す名前なのは知っているが、エレチュンの中にあるシステムデータも『TOOL』と呼ばれている。
「強い兵器を造るためのもの。それを実行するためのもの。それらの全てを管理するもの。支配し操るもの」
 淡々とした口調で、エレチュンは答える。教えられたことをそのまま言うだけのようなその答えは、広義で漠然としていた。
 エレチュン自身も、よく解っていないのかもしれない。
「! グラビティ!」
 突然、エレチュンは大声を上げた。
「どうしたの?」
 グラビティの姿が見えないアーミィには、状況が読めない。
「自分に加圧を始めた、あれでは圧死する」
「何してんだ、あの馬鹿!」
 アーミィは反射的に走り出す。その腕を、エレチュンに掴まれた。
「アーミィ危ない。今グラビティに近づいたら、潰される」
「でも…!」
 それでも何とか助けたくて、掴んでいるエレチュンの手を引っ張った。
 冷静で居られない自分と、そんな自分を「らしくない」と冷静に思う自分。どちらにも嫌気が差した。
「エレチュン、グラビティが死んじゃう…!」
 今にも手を振りほどいて走り出しそうなアーミィを傍へ寄せて、エレチュンは眼を閉じた。
 少し迷ったあと、ゆっくりと目を開く。
「『TOOL』起動…」
 人形のような無表情、視点の定まらない視線で虚空を見つめ、囁くような小さな声を出す。同時に何も無い空間にいくつかのモニタの立体映像が現れた。
『TOOL』の管理者として、機械人形としてのエレチュンだった。
 それぞれのモニタ画面には、複雑なグラフや文字が並んでいたが、アーミィには皆目解らない内容だった。
「…強制実行…【7-125-BB】を鎮静…」
 間もなくして、獣に似たグラビティの叫び声が消え、騒がしかった夜の街に静寂が戻った。
 アーミィは言葉を失って、エレチュンを見上げていた。
 立体映像が消えて我に返ったエレチュンは、アーミィの視線に気付いて、眼を伏せる。
「グラビティの心身に負担が掛かるから、やりたくなかったが…」
 少し悲しそうな顔をしたエレチュンを見て、アーミィは心が痛んだ。
 傷付いているのはエレチュンの方だ。
 アーミィやグラビティを含め、『TOOL』の施設にいた殆どの実験体は『TOOL』を良く思っていない。それどころか忌み嫌い、恨んでいる者もいる。
 エレチュン自身も、その事を知っている。
 施設から出た後、アーミィとグラビティは、他の親しい実験体も交えて施設であった事や『TOOL』について、あれこれと文句や愚痴を言い合っていた時がしばしばあった。
 エレチュンは静かに聴いているだけで、話を振っても「解らない」とか「それに関しては答えられない」と『TOOL』の重要な内部情報については一切口にしなかった。
 今思えば、エレチュンは同じ実験体とはいえ『TOOL』なのだから、どんなに傷つけていた事か。
 アーミィはエレチュンの手を握った。
「エレチュンの判断は、正しいよ」
 迷い無くそう言い、エレチュンの手を引いてグラビティの方へ向かう。
 エレチュンは表情の乏しい顔に、ほんのり笑顔を浮かべた。
 
 
 
 崩壊したビルと瓦礫の山は、どれもこれも歪な形をしていて、明らかに異常現象が起きていたことを物語る。
 そんな光景を纏う様に、中央には直径10メートルほどのクレーターが出来上がっていた。
 クレーターの真ん中に倒れているグラビティは、まるで天から落ちてきたかのように見えた。
 静かに近づくと、グラビティは動けないまま、犬に似た唸り声を上げた。
 エレチュンがグラビティを抱き起こすと、力の入らない手でエレチュンの腕に爪を立てる。
「俺に触んな…」
 意識が混濁しているのか、目の前にいるのが誰なのか分かっていないようだった。力が入らないとはいえ、鋭い爪はエレチュンの腕に食い込んで血を滲ませる。
「グラビティ、迎えに来た」
 グラビティの抵抗を全く気にせず、エレチュンはグラビティを背負って立ち上がった。
 足場の悪い帰路を、アーミィはグラビティを背負うエレチュンを気遣いながら先導する。
 グラビティはゆるゆるとした動作で暴れて、エレチュンの頭や肩を噛み付いたり引っかいたりしていた。
 見るに見かねて、グラビティを押さえ付けようとしたが、エレチュンに止められた。無理に押さえ付けると怖がらせてしまうから、と。
「放せ…」
「辛かったね」
「嫌だ…俺に何すんだ…」
「もう、怖い人はないよ」
「俺は物じゃねェ…」
「うん、知っている」
「うぐ…、…グルルル…」
「まだ苦しいだろうけど、我慢してくれ」
 混乱しているグラビティに、エレチュンは優しく言葉を返す。
 グラビティは施設に居るような気になっているらしく、怯えているようだった。グラビティがどういう扱いをされていたのか、管理者であるエレチュンはよく知っている。
 グラビティの抵抗を何一つ厭わずに受け入れているエレチュンは、ささやかな罪滅ぼしをしているようにも見えた。
 
 
 
 暴れていたグラビティは、廃ビルの24階に戻る前には、力尽きて眠っていた。
 アーミィは床に毛布を敷いて、エレチュンはその上にグラビティを寝かせた。
 グラビティの症状は落ち着いたらしく、静かに寝息を立てている。
 エレチュンが、やや乱雑に並んだ機器たちに囲まれるような位置に座り、周辺の機器のコードを自分の後頭部に繋ぐ。
 その慣れたその動作を、アーミィはじっと見ていた。
「アーミィに頼まれているデータの解析は、あと1時間41分で終わる」
「うん…」
 アーミィは、エレチュンの話に空返事をする。
 グラビティの近くの壁に身を預けるように座り込む。
 グラビティを鎮めた、管理者としてのエレチュンを思い出していた。
 この体は、『TOOL』に完全に支配されている。何処へ逃げても、逃げられない事実。
 奇妙な不安感に落ちてしまいそうになるのを紛らわせるために、目の前にあるグラビティの乱雑に伸びた茶色い髪を撫でる。
 常日頃、引っ張る事はあっても、撫でた事は今まで無かった。
「…俺は」
 ふいに、エレチュンが声を出した。
 グラビティの頭を撫でているのを見られたかと思い、アーミィは慌てて手を引っ込めた。
 エレチュンは目を閉じたまま、膝を抱えていている。
「『TOOL』をデリートできない。自己破壊も出来ないようにされている。アーミィが言う自由は、…俺が存在している限り…絶対に不可能だ…」
 淡々とした口調ではあったが、少しずつ声は掠れていった。
 この管理者にされた実験体は、誰かに傷つけられても、誰かを傷つける事は出来ないんだろうなと思った。
 そんな優しさに、『TOOL』の存在はあまりに残酷なものだった。
「僕は、エレチュンの事、嫌いにならないよ」
 アーミィは、一言ずつハッキリと自分の気持ちを言葉にした。
 エレチュンが驚いたように顔を上げて、真紅色の目で見つめてくる。
「エレチュンは、エレチュンだから」
 そう言って、普段は絶対にしない万遍の笑顔を見せると、エレチュンはすぐに顔を伏せて、膝を抱える腕に力を入れた。
 顔を隠して身を縮こませるその仕草は、エレチュンが嬉しいときにするもの。どういう表情をしていいか解らないからという理由で、感情が薄い彼なりに相手を気遣っての行動らしいが、正直意味が分からない。
 時々見せてくれる、薄い笑顔でも十分なのに。
 アーミィは、腹減ったと寝言を言い始めたグラビティの鼻をつまんだり、ほっぺを引っ張ったりしながら、ゆったりと時間が過ぎるのを楽しんでいた。
 
 
 
 
 
終わる


上の人には逆らえません

日常の雑記 - 日記

鎖さん。
初登場はG2ARTSだったっけか? シークレットライブポスター? もう数年も前で忘れてしまった…。
デコの英文字間違ってるかもしれない(曖昧)
グラビティのクローンだけど、グラビティのような野性味は無い感じに思える。
凶悪な雰囲気だけど、いい所のお坊ちゃんのような気品さがある不思議。
クローンだからグラビティより年下だよな。見た目は年上だけど。
うわ、あんな見た目で中身子供だったら、なんかヤベーな!
・・・うん、ヤベーな(何)
 
 
仲良くしてた人が会社で異動になった。さびしい。
異動っていってもグループ会社である別会社になる。寂しいよ。


変わらない

日常の雑記 - 日記

「お帰り」
 
エレつん可愛い。
何年ぶりに描いたん(汗) しかしながら、全然変わってない。
下手になるワケでもなく、上達してるワケでもなく、あの時のままだ。
さすが、永久少年(違)
 
 
かなり年数空いてしまったけど、今でもムビキャラ大好きだよ!
好き過ぎて、たまらんよ!!
昔のエレつんのままでごめんよ!
 
ムビキャラの子たち、何人かは再登場してるみたいですね。
会いに行きたいな。ゲーセン行ってみたいな・・・。
でも怖いな! うずしお、どんだけライトプレイヤーになってんだろうか!
ハイスピやサドゥンのやり方すら覚えてないよ!


願う事について

エレチュンとホリックのお話。
この内容は過去に書いた小説『TOOL』を元にした設定なのでご注意。


 使われなくなって、忘れ去られた廃屋ビルの24階。
 さして広くも無い一室には、大小さまざまな機器がやや乱雑に並び、それぞれの役割を果たすべく機械音を発している。
 その機器たちに囲まれ、一身にまとめるように無数のコードを頭に繋いだ少年が、膝を抱えて床に座っていた。
 ふと、薄く閉じていた目を開き、部屋に入ってきた者を見上げる。
「やあ、エレチュン。元気かい?」
 入ってきた男は、大げさな身振りで一礼した。
「ホリック。120時間6分前にグラビティとアーミィに、二度と来るなと言われてたはずだが」
「その件について、承諾した覚えは無いよ。ボクに命令できるのは、ボクのマスターだけさ」
 ホリックはゆっくりと歩いて、エレチュンの前まで近づいた。
「キミはボクに対して、二度と来るなとは言わないね」
「ホリックによる大きな損害・支障をきたした事は、今までの経緯を検索しても施設に居た時のハッキング以降は無い」
「あれはマスターの命令だったから、仕方なく…ね?」
「命令での実行だった事を考慮した上で、現時点での危険性は、極めて低いと判断している」
「いい子だね」
 ホリックはしゃがんで、エレチュンに顔を近づける。
 人間に良く似た瞳孔の無い目に、ほんの一瞬だけ光が横切ったのが見えた。
「おや…? 今ボクの事をスキャンしたのかい?」
「あらゆる対象に、自発的に定期スキャンをしている。検知結果によっては、適切な対処をする」
「ボクはウイルスなんて持っていないよ。マスターが毎日検査してくれているのだから」
 ホリックは口を尖らせる。
「あの2人にもスキャンしてるのかい?」
「対象は全てとしている。グラビティとアーミィの場合は、身体に異常が無いか調べている」
「随分と大事にしているのだね」
 ホリックがそう言って間もなく、周囲の機器の機械音が少しだけ静かになった。
「検索、及びデータの集成を完了…」
 エレチュンは小さく呟いて、頭に繋がっているコードをいくつか抜き取る。
「何を調べていたんだい?」
「アーミィに頼まれていた。内容は公言しないよう言われている。だから言えない」
 少し申し訳無さそうな顔をするエレチュンを、ホリックはまじまじと見つめる。作業が終わる前までは、瞬きひとつしなかった顔に生気が戻るのが見て取れた。
 データ処理の量が減ると、エレチュンは少しだけ人間らしくなる。
「今日は、キミの体を弄りに来たワケではないよ」
「その行為に関しても、グラビティとアーミィに禁止とされていたはずだ。今の発言は、今後その行為に及ぶと予測できるが」
「2人にはいつも寸での所で邪魔されるけどね。まあ、キミの演算処理に差し障るような事は絶対にしないさ」
「それなら問題ない」
「それは、邪魔されるという部分での返答かい? それとも演算処理についてかい?」
「質問に対して意味は理解したが、意図が不明」
「隙があるのだか無いのだか・・・」
 ホリックは小さく独り言ちてから立ち上がると、部屋を見回す。
 人間らしい生活感は全く無く、ただ多くの機器が置いてあるだけだった。
「キミはデータよりも、自分を大事にしたほうがいいよ」
「それについては、どうしていいのか解らない」
「人間になりたいというのは、まだ諦めてないのかい?」
「俺は元々人間だった。だから、人間に戻るべきだと思っている」
「では、人間について、話をしてあげようか。キミが人間になるには、正直な所を言えば、とても難しいことだよ」
 ホリックはエレチュンの前に再び身を屈めて、エレチュンと目線を合わせた。
「ボクたちは機械だから睡眠をとらなくていい。それにキミは完璧な永久機関だからエネルギーも食事も必要ない。この世で誰もキミを破壊できない…不滅の存在だから遺伝子を残す必要も無い。人間の三大欲求と言われているものは、全てクリアしているからね」
「スリープモードはできる。胃は退化してしまったが、物を食べる事は可能だ。消化吸収は無理だが、分解はできる。遺伝子・記憶・意識はデータ化してあるからコピーできる」
「そういう意味で言ったのでは無いのだけれど・・・」
 苦笑いを浮かべるホリック。
 そんなホリックに、エレチュンは興味深そうに少しだけ顔を近づけた。
「それ」
「何だい?」
「その笑い方が、俺はできない」
「キミは素直だからね」
「俺は、おかしな事を言ったんだろう?」
「おかしくはないさ。間違っていない答えだったよ」
「……」
 エレチュンは黙って、ホリックから目を逸らした。
「気分を害したかい?」
「解らない」
「キミは感情が希薄過ぎるよ。特に願望や欲に関してはね」
 目を細めて考え込んでいるエレチュンと見て、ホリックは首を傾げた。
「ボクの返答は気に入らなかったのだろう? 人間はそういう時に、不満をぶつけたり怒るものさ」
「・・・こら!」
「プッ…! …失敬。そう来るとは思わなかったよ」
 全く怒った様子の無い顔で叱咤するエレチュンに、ホリックは口元を押さえた。
 笑いを堪えているホリックを見て、エレチュンは目を伏せる。
「ホリックには、人間のような感情がある。でも、俺は…」
「擬似的なものさ。人間の感情に酷似しているだろうけれど、コミュニケーション能力に特化したプログラムだよ。ボクのマスターは天才だから」
 ホリックは得意気に笑顔を見せて、少し考えてから口を開く。
「精神面の話は、まだキミには難しそうだね。では、具体的に予想しやすい話にしようか」
「予想しやすい話?」
「キミは、例え独りで何も無い空間に居ても、永久に稼動できる。ひとつの存在として、完全に完結しているから。これは他の誰もが望んでも不可能な事だよ」
「あらゆる環境下において、不足無く正常に機能し続けられるように造られているのは、知っている」
「でも…キミがただの人間になったとしたら、どうなると思う?」
「人間と同じに暮らせる?」
「そうだろうね。でも、それでいいのかい? 今まで出来ていた事が出来なくなるんだよ?」
 ホリックの言葉に、エレチュンは表情を曇らせた。漠然とした内容で考えがまとまらない様子だった。
「簡単な所を言えば、自力で空は飛べないよ? 人間は好きな時に体を変形させて飛ぶ事は、出来ないからね」
「移動に関しては徒歩、もしくは適正の機器に頼る事になるのは、理解している」
「機器は物理的な操作が必要になるからね? 電波やコードを繋いだりしての直接操作は出来なくなるよ?」
「その点に関しても、理解している」
「腕を切り落としたら、今のキミなら再生できるし痛覚も遮断できる。でも、人間はそうはいかない」
「腕は治せるかどうか分からないが、痛覚は我慢する」
「キミは自分が最重要機密だという事、忘れてないかい? 今でもキミの中の『TOOL』を欲しがる人はいるだろう。全身兵器のキミなら問題ないけれど、生身の人間では襲われたら何の抵抗も出来ないからね?」
「それは…」
「キミの大事な友達だって、襲われる可能性は十分にある。どうする気だい?」
「……」
 何も言い返せなくなって俯くエレチュンを見て、ホリックは肩を竦めた。
「すまないね。キミを困らせたかったワケじゃないさ」
「解っている」
「キミは何かを願うことが滅多に無いから、協力してあげたいけれど、現実的には難しいよ」
「現状維持が最善である事は、理解した。…理解は、した…が…」
「納得できないかい? その気持ちは人間らしいじゃないか」
 ホリックは俯いたままのエレチュンの頭を撫でたが、すぐに手を引いた。
「おっと、危ない。キミに触ると、お友達が怖いんだよね。・・・って、もう遅いか」
 ホリックがくるりと振り返ると、部屋の入り口に少年が2人立っていた。
「テメェ!! 何してんだッ!」
「エレチュンから離れて、変態」
 2人はすぐに駆け寄ってきて、エレチュンとホリックの間に割って入る。
「グラビティ、アーミィ、お帰り」
 エレチュンは、柔らかな表情を見せた。
 その様子を見て安堵した2人は、ホリックに鋭い視線を送る。
「ちょっと放熱装置の髪を触らせてもらっただけさ。正常に機能しているか、調べてあげてたんだよ」
「本当に?」
 アーミィは上目遣いにホリックを睨んだ後、エレチュンの方を向いた。
「髪の調子が悪いの? 体が熱い?」
「特に異常は無い」
「ちょっ…エレくん、そこは話を合わせてくれたまえ」
 ホリックは引きつった笑顔を浮かべる。
「潰されたり、蜂の巣にされるのは困るよ。壊されて困るのは、ボクじゃなくてマスターだけどね」
 グラビティに大きな犬歯を剥き出して睨まれ、アーミィに銃口を向けられて、ホリックは降参と言わんばかりに両手を挙げた。
「ホリックと、大切な話をしていた」
「そう…」
 エレチュンの言葉に、アーミィは頷いた。
 機械同士でないと分からない話もある事を、アーミィは理解している。でも、その目はまだホリックを警戒しているようだった。
「エレチュンに変な事言ったんじゃねェだろな?」
 疑いが晴れないグラビティは、犬に似た唸り声を出す。
「はいはい。ボクは邪魔者だから、帰らせてもらうよ」
 ひらひらと手を振って、ホリックは足早に部屋を出て行った。
 その後ろ姿を3人で見送る。
 ホリックの気配が消えたのを確認すると、アーミィはすぐさまエレチュンに詰め寄った。
「大丈夫? 本当に髪を触られただけ?」
「うん。問題ない」
「よかった…。ホリックの前だから、本当の事が言えないのかと思ったよ」
 今度こそ安心したアーミィは、深く息を吐いた。
 同じく眉を開いたグラビティは、ふんと鼻を鳴らせた。
 気が落ち着いた2人に、エレチュンは静かに口を開く。
「グラビティとアーミィは、俺が守るから。何があっても、絶対に」
 エレチュンの言葉に、グラビティとアーミィはお互いに目を合わせた後、すぐにエレチュンを見た。
「あのヤロー、やっぱ変な事言ったんじゃねェのか!?」
「ありがとう。僕もエレチュンとグラビティを、絶対に守るよ」
 
 
 
 
 
終わる


生きてますぜ!

日常の雑記 - 日記

お久しぶりです、うずしおです。
しぶとく生きてます。
 
時が経つのは早いですね。
今日は、絵描きの相棒であるマックPCを起動して、ブートでウインドウズ7を立ち上げて・・・。
絵描きソフトのsaiの起動の確認をば。
 
絵を描く環境は整った。
しかし、環境は整っても、心がついて来てくれない。
けれど、離れてて気づいた。
 
私は、やっぱり絵を描くのが好きだ、と。
走らずに、歩きます(笑)


人は他人との違いに気付くと己を自覚する

日常の雑記 - 日記

パラレルローテーションな奴ら。
大犬のワルツな彼女は、自分だけ飛べない事に気付く。
何故、自分は飛べないのか。
他者との違いに、人は己を見詰め直すという。
 
・・・ってか、自分以外、ロボと化け物だから、仕方無い事にも気付く(笑)
 
 
すごいウロ覚えでテキトーな絵だが、愛はある。


自重知らねぇ

日常の雑記 - 日記

しんぷる いず べすと
普段こんな格好なら、描き易い(笑)
 
妄想は痛く無い。
なぜなら、夢を見ているから。
夢の中にいれば、痛く無い。
しかし、熱が冷めれば、目が覚める。
その瞬間から、痛みを知る。
 
それが、痛い妄想(悟)
 
 
暫定設定を考えてみる。
名前、アルマ、そのまんま。
人間が神様を造るとしたら? きっと、こんなん。
メンデスの後継機の為か、メンデスに対して仲間意識があり、一緒にいたがる。
でも、メンデスにウザったがられる。「あっちに行け、犬」とか言われる(笑)
時空を歪めて、パラレルワールドからボスたちを召喚。悪気は無い。
その中でも、人造天使っぽいEXUSIAは気持ち悪いくらいアルマを崇める。
 
ついつい色々と思いついてしまう不思議妄想(笑)