ただの思いつきの話
ある物語の裏側。
具現できない世界の片隅の妄想。
命の意味を問う雀と鴉のお話。
その子は何よりも死を望んでいた。
けれど、自ら命を絶つことができなかった。残された周りの者たちが自責の念に苦しむのを避けたかった。
だから誰かに命を絶たれることで、自責ではなく怒りの念を加害たるものに向けさせようとした。
なんて自己的でわがままな理由であることか。それは重々理解していた。
そんな子の望みを、ある青年が受け入れた。その青年は命を奪うことを生業としていた。
とくに深い縁もゆかりも無い、ただ同じ地に居ただけの関係だった。
その子は限りある命を約束され、とても喜んだ。
青年は、その子の長くも無い命の残りを自分と共に過ごすことを条件とする。
その狙いは、その子に生きる道を見つけさせることだった。
果たして結末は・・・。