日常記録やゲームの感想とか、創作や二次創作の絵や妄想を好き勝手に綴っていく、独り言の日記。
 


しばらく日記更新お休み


 

うちよそ話

日常の雑記 - 日記

あやさん、うちよそ話ありがとうございましたあああ!!!(うるさい叫び声)
ちゃんと、うちの子の設定組み込んでくれてありがとうございます!!
姉弟な雰囲気だなんて可愛すぎなんですがっ!! …チーン(昇天合掌)
うずしおは幼少のころから、人間と非人間の組み合わせが好きでしてね! たまらんのです!
 
あやさん宅のうちよそ話は3話立てなので、ぜひぜひ読みに行って!!!(謎の宣伝)


ではでは! お礼に私めも、うちよそ話をしたためました。
あやさんのお話3話の後くらいのものだと想定してやってください。
うずしおは、ほんわかほのぼの系のお話は書くのが難しいので、ファンタジー系の濃いものですが。
あやさん宅の設定をお借りしてます!
「サラちゃん、今日はもうあがっていいよ」
店長にそう言われ、サラは木製の丸テーブルを拭いていた手を止めた。
「え…」
顔を上げて店長の方へ振り向く。店長は神妙な面持ちで食器を片付けながら、こちらを見ていた。
ちょうど店長の後ろにある時計が視界に入る。バイト終りの時間にはなっていない。
「あ、あの…」
もしかして、自分は何か失敗をしてしまったのだろうか。思い当たることが無いか記憶を遡っていると、店長は優しく微笑んでくれた。
「あー、違う違う。サラちゃんの働きぶりは今日も最高だったさ!」
ぐっと親指を立てる店長。
「今夜は冷え込むみたいだから、早めに帰ってもらおうと思ってね。…いいかい。くれぐれも、早く帰るんだよ? 寄り道しちゃダメだから、ね? 絶対だよ?」
念を押すように言われ、サラは首をかしげた。寒いからといってそこまで気にする店長に、違和感を感じる。
けれど、断る理由も無いし、早く帰れるのならあの2人に会いに行きたかった。
「はぁい! おつかれさまでした!」
笑顔で応えると、店長はうんうんと満足気に頷いた。
 
学校の制服に着替え、早足で家へと向かう。
今の時期は日が短いから、早上がりであっても、太陽はとっくに顔を隠していた。
一軒家が並ぶ、通い慣れた住宅街の道。点在する外灯の光が、足元を照らす。
少し離れた空に、薄く光が上っていた。あの方向は神社のある辺り。もしかして、今日は神社でお祭りか何かの行事をやっているのだろうか。もしそうなら昨日お店に来たときに教えてくれても良かったのに、と、サラは常連のおじさまを思い出した。店長はおじさまを神社の神様だと教えてくれたけど、どうも信じられなくて、本当は神主さんなんじゃないかと思っている。
しばらく歩いていると、小さな鳴き声が聞こえてきた。
辺りを見回すと、すぐ近くの生垣の下に小さな仔猫がうずくまって、か弱い声を上げている。首輪を付けているから飼い猫だとすぐに分かった。
そっと近寄り手を差し伸べると、仔猫は顔を擦り寄せてきた。毛先が冷えている。無理も無い。異常なくらい寒い気温だった。昼間はお昼寝したくなるくらい、ぽかぽかとしていたのに。
仔猫の首輪には小さなタグが付いていた。よく見れば、仔猫の名前らしい手書きの文字と、住所が刻印されている。この住所なら、ここからそんなに遠くない。
「ひとりで寂しかったね、お家帰ろう」
サラは仔猫を抱き上げ、住所の場所へと足を向けた。2・3度同じ道をぐるぐる回りながら、目的の場所へ辿り着いた。
古風な一軒家の塀の上に、仔猫と同じ首輪をした猫が座っていた。仔猫が塀の上の猫に向かって大きく鳴く。すると、猫は塀から飛び降りて、サラを見上げてきた。
「よかった…。お母さんかな?」
静かに仔猫を下ろすと、猫はお礼をするかのようにサラの足に頭を擦り付けた。
サラは一安心して、家へと向かう。十数分くらい歩き続けて、空を見上げると足が立ち竦んだ。
ひときわ大きく輝く、満月に満たない欠けた月。しかし、その月は今まで見たことの無い、真っ赤な色だった。まるで、血のように。
ざわり、と。寒気がする。闇夜を照らしてくれるはずの優しい月に、初めて恐怖を感じた。
「わっ」
突如として、氷のように冷たい突風が吹き抜け、サラの長い茶髪を掻き乱す。風が通り過ぎてから、サラはゆっくりと目を開けた。
いつの間にか、地面のそこかしこに水溜りができていた。突風が吹く前は水溜りなんて無かったのに。しかも、水溜りにしてはずいぶんと黒ずんで濁っている。まるで、黒い水に赤い絵の具を少し入れたような気味が悪い色。泥水というよりも、底の見えない穴が開いているように見えた。
外灯がいっせいに点滅を始め、バチバチと音を立てて次々と消えていく。
「て…停電…?」
光を失った風景は、さらに気温が下がったような錯覚を起こす。
赤い月の暗がりの中、黒い水溜りは沸騰するかのようにボコボコと泡を立て始めた。泡は見る見るうちに膨れ上がり、2メートルくらいの高さにまで大きくなると、グググと不気味な音を出す。
「…っ…」
目の前の状況に思考が追いつかず、サラは目を見開いていた。この場から逃げ出したいのに、足が震えて動かない。
不気味な泡の塊たちはユラユラと左右に揺れながら、サラを囲むようににじり寄ってくる。
あまりの恐怖に、声すら上げられなかった。
「クォォォーーーン!!」
ふいに辺りに響く、深海でクジラが鳴くような、力強く透き通った高い声。
盛り上がっていた黒い泡が、次々と破裂するように消えていった。
暖かい風がふわりと頬を撫でる。それと同時に、夜空に大きな白い影が通り過ぎていった。
「サージェイドくん!?」
サラは空を仰いで声を上げた。あれは、前に見せてくれた、青い鬣の白いドラゴンの姿。その白い影が夜空に燐光を散らし、彗星のように青白い光の尾を引きながら小さくなっていく。それに導かれるように、外灯が光を取り戻していった。
サラは目を凝らして天翔けるドラゴンを目で追う。遠くへ飛んでいく白い影が目指しているのは、町の高層ビルよりも高い大きな黒い山。
「何…あれ…」
隣町に、あんな山なんて無い。良く見れば、山は黒い水溜りと同じ色をして蠢いていた。そして、建物を空気のようにすり抜けながら、こちらに近づいてきているのが分かった。
異様な光景に背筋が凍る。思わず、手に持っていた鞄を胸の前で抱きしめた。
黒い山は白い影が近づいてきたのを感知すると無数の棘ように姿を逆立た。蛇のように曲がりくねった腕を何本も伸ばして、捕らえようとする。
白い影はどこまでも伸びる黒い腕を旋回して避け、その軌跡は光の粒子になって夜空に巨大な魔方陣を描いていった。
描かれた光の魔方陣は垂直に落ちていき、黒い山に重なる。魔方陣に包まれた黒い山は、煙のように薄らいで消えた。
サラがその様子を呆然と眺めていると、白い影が飛んで戻ってきた。
「クァ!」
白いドラゴンは短く鳴いて、大きな翼を羽ばたかせて着地する。前に見た時にコウモリの翼の骨格に見えていた翼は、銀河をちりばめた宇宙の景色の皮膜で覆われていた。
…が、まばたきをした次の瞬間には宇宙の景色は消えていて、骨格だけの翼の隙間には見慣れた星空が遥か遠くに見えていた。
目がくらむ眩しさに目を閉じて、ゆっくりと目を開けると、目の前には黒いフードを被った白肌の少年が立っていた。
不可解な出来事が短時間に起きすぎて、サラは固まったまま目をぱちぱちとさせた。
「サラ!」
「!」
元気な声で名を呼ばれて、我に返る。
「ここ…神社の神、守ってたかラ、間に合った!」
「じ、神社?」
神社と聞いて、いつもお店に来てくれている常連のおじさまの顔が脳裏に浮かぶ。未だに信じられなかったけれど、本当に神社の神様なのかもしれない。
「もう、ダイジョブ!」
サージェイドは片言で言いながら、にっこりと笑った。
「あの大きな黒いもの何だったの? サージェイドくんは大丈夫なの? 怪我してない?」
「となり、町…の。地主神。神は、生き物、違う…から、死ぬこと、無い。ケど、堕ちる。…堕ちた神…は…っ」
サージェイドは徐々に声が小さくなっていき、それに合わせて表情が曇っていった。言葉を止めて口を噤み、首を振る。
「?」
その様子に、サラは小首をかしげた。サージェイドの辛そうな表情に心が痛む。
良く分からないことだらけだけど、とても危ないところを助けてもらったことだけは分かる。
「助けてくれて、ありがとう!」
サラはサージェイドの手を握り締めて、万遍の笑顔でお礼を言う。すると、サージェイドは表情をぱぁっと明るくした。
「うン! サラ、無事でよかっタ! オレ、神社の神…に、アリガト、言うの…行く!」
サージェイドは翼を広げる。それは骨格だけの翼で、さっき見えた宇宙のような皮膜は無かった。
「サラ…の、仲良し人間、ふたり。心配してル。早く、帰る、行く…あげて」
そう言い残して、サージェイドは夜空へ飛び立つ。
「またね!」
サラは手を振りながら、白い影が見えなくなるまで見送った。
ほっとして肩を撫で下ろす。何だか夢でも見ていたような出来事だった。
ふと、今日は店長が早く帰るようにと言っていたのを思い出す。もしかして店長は、この事を知って…と、思いかけたところで腕時計の針の位置に気付いて息を飲む。
「えっ、うそ! もうこんな時間!?」
思っていたよりもずっとずっと時間は過ぎていたらしい。
サラは頭の中が真っ白になりながら、全力で帰路を疾走した。