日常記録やゲームの感想とか、創作や二次創作の絵や妄想を好き勝手に綴っていく、独り言の日記。
 


しばらく日記更新お休み


 

うちよそ話

日常の雑記 - 日記

時間の流れって、あっという間だね!
事故を起こしてからというもの、起こした交差点で曲がるのがなんとなく恐怖。
乗り越えろ、自分。
 
 
あやさんの創作夢話が面白い…!
王道的な現代ファンタジー、うずしお、そういうの大好き…!
現実世界に垣間見る未知の世界ってワクワクしません?
 
他の人のうちの子って、どんな子だか知りたいなーっと密かに思います。
いろんな人のうちの子が登場するお話とか、面白そうなんだけども。
 
 
あやさんのうちよそ話で、何だか創作意欲が沸いた!…ってことで、うずしおも再び、うちよそ話をしたためました。
あやさん宅の喫茶店をお借りしてます!
会話は殆どありません。うちのサージェイドの独白がメインです。小難しいこと考えてますが、考え方が大きくて大雑把なだけです(言い訳)
人間って、客観的に見ると面白い生き物なんだよ。


 今の時代は人間の世界に溶け込みやすいなと、サージェイドは思っていた。完全に人間に姿を似せなくても、人間だと思ってくれるのだから。
 昔は異形の存在と認識されることが多々あったが、今は『こすぷれ』という言葉で、人間は同種族だと思ってくれる。それでも、人前で空を飛ぶのはサラに止められた。人間は空を飛べないから、せめて姿を消して飛んで欲しい、と。人間がそういう生き物だから、これは我慢するしかない。
 昔にも、人間の前で飛んだときに人間たちに騒ぎが起きてしまったから、やはり人間の中に何か燻っている思いがあるのかもしれない。この星の、空を飛べない生き物は、空を飛ぶ生き物のようになりたいと望むことはない。けれど、人間は違う。自分に無いものに想いを向ける。憧れる気持ちは目標に変わる。羨む気持ちは嫉妬に変わる。人間はとても不思議な生き物。
 通い慣れた場所。テンチョーの『キッサてん』に、今日もサラは来ていた。
 サージェイドは、目立たない端の席に着いて、店内を見回していた。カウンターの奥からサラの姿が現れると、無意識に尻尾を振ってしまう。
「はい、どうぞ!」
 サラが運んできてくれたのは、乳白色の白いくて細長い物体の集まりに、薄黄色の粘質な液体が乗ったもの。
 サラからフォークを手渡される。これの使い方はサラに教えてもらった。フォークの先で細長い物体を絡めて掬う。道具を使うのは少々煩わしいが、人間には人間のルールがある。
 噛み砕く真似をしながら、原子にまで分解して吸収する。この微量な物質も、元を糺せば原点の一部。この身に取り入れるのは宇宙回帰に等しい。
「コレ、おいシイ!」
 サラやテンチョーの『ごはん』は美味しい。人間に真似た感覚では、美味しいという分類に入る。ただのエネルギーとして取り込むのではなく、味覚という器官で気分も満たす。そのための工夫を凝らす。人間はこういった、生きるために不必要でも生きるのを豊かにする方法を数多く身につけている。
 自分は本来、生物と違って腹が膨れるわけではないが、人間として形を模したこの姿であれば生体器官内部を満たせる。美味しいという感覚は確かに気分を良くしてくれる。
「美味しい? よかった!」
 サラはにっこりと笑った。ふわりと、やわらかい波動が流れる。人間には見えない、魂の吐息。
 美味しいというのは、得た者を満たすだけでなく、それを伝えれば伝わった者の心も満たしてくれる。強い個でありながら群をなす生命体として、この相乗体系は良いものだと思う。
「それはカルボナーラっていうんだよ」
「かル…ァら。かルぼぅァら」
 上手く発音ができない…が、それはともかく、人間は面白い。摂取するものにすら名をつける。特定の存在を定義し他者へ正確に伝えるためだろうか、それとも自分の一部となる他種族の命への敬意だろうか。
 穏やかな波長…サラが“音楽”と呼んでいる空気の振動を全身で感じながら『ごはん』を食べる。人間って、こういう雰囲気を大事にしてるから理解が出来ない。でも、悪くない。
 店内の『おきゃくさん』は3人くらいだった。サラはあちこちと動き回って、『おきゃくさん』たちに笑顔と『ごはん』を配っていた。
 ちりん、と、鈴の音。
「いらっしゃいませ!」
 サラが明るく元気に返事をして、くるりと出入り口へ振り返る。明るい茶髪が光を流して揺れた。
 店の出入り口から、威圧感のある強面の大男が入ってきた。サージェイドはその大男の気配を探って、すぐに人間ではないことに気付いた。
「こちらへどうぞ!」
 サラが曇りの無い笑顔で大男を席へと案内する。人間に見えているとはいえ、人間が平均とする基準を遥かに超えた怖い顔の大男に対して、平常と変らない対応をできるのは、あらゆるものに心を開いているからだろうか。
 一方、カウンターの奥で食器を拭いていたテンチョーは大男を見て固まっている。無理も無い。大男の正体はガーゴイル。人間に上手く化けているが、テンチョーには悪魔に似た顔に屈強な体躯と大きな翼と尻尾が見えているはず。人間は極稀に特異な能力を持つことがある。テンチョーは幼少の頃から人間に見えないものが見えていると話してくれた。他人には見えない恐怖、他人とは異なる孤独。それに耐えて生きてきたんだと思う。
 テンチョーが半開きになった口をわななかせながらこちらを見てきたので、尾の先を高く上げて振った。このガーゴイルに敵意は無いから大丈夫だとテンチョーに伝える。
 サージェイドはミルクを飲みながら、ガーゴイルを見つめた。ガーゴイルがひとりで行動するのは珍しい。ガーゴイルは主人や建造物を守る存在で、守護対象から片時も離れることはない。守るものを失ったか、それとも捨てられたか。
 ガーゴイルの大男は息を切らして汗をかいていた。それに気付いたサラはコップに水を注ぎ、大男の前へ差し出す。
「よろしければどうぞ。こちらもお使いください」
 と、水の入ったポットをテーブルへ置き、タオルを大男へ渡した。
「…ありがとう…」
 大男はサラの対応にとても感激したようで、筋肉質な尻尾をふるふると震わせた。強張ったような怖い顔が、へにゃりと緩む。
 サラは優しくて、その魂はとても純粋で輝かしい。その美しさに、人も人ではないものも惹きつけられる。
 ただ、それが必ずしも良い存在ばかりではない。
 濁った塊がサラの所へ近づこうとしているのに気付いて、サージェイドはガァと威嚇した。濁った塊はあっさりと四散して消える。下級悪魔にすらなれなかった悪意の塊は人を変えてしまうような力は無いが、人に取り憑けば病気になったり不運に見舞われる。
 この悪意の発生源が、生物…特に人間であることは、あまり知られていない。人間の悪い感情エネルギーが外へ出て、それが積もり積もって塊となって漂うようになる。人間がどこから悪意を覚えるのか、それを知りたくて人間を観察するようになったけど、未だに解らない。そもそも自分は人間ではないから善悪の区別が解らないのは仕方が無いのかもしれない。唯一解っているのは、悪意は必ず他の誰かに向けて発生するもので、その対象の殆どが人間であるということ。共存している同種族なのに、どうして悪意を向ける必要があるんだろうか。
 やがて、店内の『おきゃくさん』がひとりまたひとりと去っていった。サラがそろそろ家に帰る時間。
 店の外から、話し声が近づいてきた。こ気配は、サラと仲良しのあの2人。
 ちりん、と鈴の音と共に少し開いたドアから、顔を覗かせる2人。
「迎えに来たぞ」
 と、その片方が少し頬を赤らめながら言った。
 サラは2人に駆け寄り、ニコニコしながらひとつふたつ言葉を交わした。サラの魂が安心した穏やかな色に変わる。
 サラが小さいときから一緒にいるというあの2人。あの2人からは、珍しい色の運命の糸が見える。複雑に絡まっていて、サラと繋がっている。とても細いが、力強い糸。
 かつての自分であれば、その糸の先をひとつひとつ手繰り、起源から終焉、次の運命の先まで視ることもできたし、運命も事象も直接操ることができた。しかし、暗黒の宇宙と分断されて久しい自分には、その能力は無い。操ることができなくなった運命から生まれる未来は、見守るしかない。時空に干渉して変化を起こすことも可能だが、運命そのものを破壊する危険がある。
 サラとテンチョーには優しくしてもらっている。人間は、優しくしてくれる人に対して恩を返す生き物。だからサラとテンチョーと、その周りの人にも恩を返す。今の自分は魔力の殆どを失っているが、この極小の星で活動するには十分な余力がある。この星の悪意から守ればいいと思った。
 無数に枝分かれした未来を、サラたちが選び間違わないように…。
「サージェイドくん、また来てね!」
 明るい弾む声でサラが挨拶し、手を振る。
 サージェイドは笑顔を真似てこくこくと頷くと、手と尻尾を振って3人の後姿を見送った。


私信:
うちのサージェイドは食べるというか、物質の吸収はできますよ!
全ての物質を吸収して原初の宇宙空間に戻せば片割れ(暗黒の宇宙)に会える(同調できる)かもしれないという考えがあるからです。
実際にそれを行動に移すと全ての恒星・惑星・宇宙に散在する物質を全て(生命や魂なども含む)を吸収することになるので、実行に至ってません。今は人間観察が楽しいのです。
宇宙で発生するブラックホールは、サージェイドが気が向いたときに小規模に物質吸収してる時です。暗黒の宇宙に会いたい思いからの行動で、自分の体に全て取り込んでます。被害に遭う周りのことなんて全く考えていないどころか、全てがひとつに戻ることを道理としています(すごく迷惑な存在)
ヘンテコな設定ですが、サージェイドは厳密には神ではなく、人間が神として崇めていた「どんな願いも叶えてくれる“何か”」という概念が元です。固定できる定義が存在しないので神という扱いで定着しています。
サージェイド自身も、自分の存在を認識させる名前以外の情報として、それでいいと思ってます。割と何でもいい主義な性格です。
存在同様、性格も曖昧なので自分でルールを決めてそれに沿った言動をします。今は在住している星の法則と人間のルールを真似ています。