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カレー

刺斬の代わりに鎖とⅨ籠が料理をするお話。
頭がゆるいお馬鹿な内容でも許せる人向け。


 けほ。と、乾いた咳をする。刺斬は放心した目つきで天井を眺めていた。
 何故、こうなるんだ。まさか風邪を引くなんて。
 不甲斐無い自分を責める。声も全くでない状態だった。
 いや、問題はそこではなくて。
 少しふら付きはするが、動けなくはなかった。だから日常生活においては何の問題もなかった。それなのにあの2人は。
 鎖かⅨ籠のどちらが先だったのか忘れたが、安静にしてろ、と言い出した。
 普段、2人は互いに小さな言い合いをして、時には喧嘩に発展する仲なのに、こういう時は阿吽の呼吸で謎の団結力を発揮するのか。
 身の危険を感じて逃げ出そうとしたが、Ⅸ籠の影の力に捕まった。こんなことに特殊能力を使う意味はあるのか。いや、無い。というか、病人相手にやるようなことではないはずだ。物事の加減を知らなすぎる。
 そして動けない所を鎖に縄で縛られて、ベッドに転がされて布団を掛けられた。
 2人の優しさが厳しいっス…。
「ゆっくり寝てな」
 と、心配してるのか楽しんでるのか分からない笑顔の鎖に言われて。
「刺斬にはいつも世話になってるからな。たまには世話してやる」
 と、いつもは隠そうとする子供らしい無邪気さでⅨ籠に言われて。
 恐ろしいことに、2人は「何か作る」と言って、キッチンに入っていった。
 素直に喜べる状態ではない。気持ちだけで十分っス。いや、遠慮ではなくて。本当、余計なことして欲しくない。
「はぁ…」
 額の上に乗せられた、ひたひたに水を含んだタオルの水滴がこめかみの辺りを流れていくのを気にしながら、刺斬は溜め息をついた。
 ほどなくして、キッチンの方から物音がし始めた。聞き耳を立てて意識を向ける。
「クロウ。カレー作ろうぜ」
「分かった」
 どうやらカレーを作る気らしい。少し安心できる。以前、鎖と一緒にカレーを作ったことがある。無難な料理を選んでくれた。これなら余程のことが無い限り失敗しないし、多少味が悪かったとしても後から挽回もできる。
「そっちにジャガイモ無かったか?」
「……鎖、これ? これ、じゃがいもってやつ?」
「それだ。それ10個もってこい」
 は? 10個? まてまて、3人分っスよね…?
 冷蔵庫を開ける音がする。
「ニンジン…。あと、何を入れてたっけかなぁ? これも入ってたような…」
「これ、刺斬がよく食べてるやつだ。これ入れたら、きっと喜ぶぞ」
「んじゃ、それも入れようぜ」
 何を…何を入れる気っスか…。
「包丁は危ねえ。俺が切るから、お前はジャガイモ洗え」
「お前、殴るしか能が無いだろ。オレのほうが斬るの得意だ」
「何で刀抜いてんだよ」
「オレにやらせて。こっちの方が使い慣れてる」
「まな板ごと切る気かよ。やめろ」
 喧嘩になるかなと刺斬は気を揉んだが、その後2人は静かになった。
 とんとん、と、少しぎこちない音が響く。
「…ってぇ。指切った」
「だからオレにやらせろって言っただろ」
「るせえよ。お前、武器しか握ったことねえだろが」
「武器以外も持ったことあるし!」
「言葉の綾だ。真に受けんじゃねえよ」
 また少し険悪になりながらも、2人は喧嘩をせずにいるようだった。
 刺斬は気を張っていたが少し緩んだ。鎖は切るのに慣れてきたらしく、音の間隔が短くなっていった。指は大丈夫だろうか。速さよりも、慎重に切って欲しいのだが。
「ぐああっ!」
 突然、鎖が声を上げた。
「何だこれ! 危険物か!?」
 Ⅸ籠が驚いた声を出す。
え、何スか? 危険物? そんなものは置いてないはず。
「やべぇ! クロウ、離れろ!」
 緊張した雰囲気に包まれる。
 刺斬は慌てて身を起こそうとしたが、無理だった。こんなことなら縄抜けを学んでおけばよかったと、悔やむ。2人の身に何かあったらと思うと気が気でなかった。
「目ぇ、閉じるな。閉じるとよけいに痛くなるぞ! 早く、目ぇ洗え」
「刺斬はこんな危険なもの切ってるのか…。ねえ、これ粉砕して相手に投げつければ催涙弾の代わりになる?」
「食べ物粗末にすんな」
 玉ねぎ…。
 刺斬は一気に力が抜けた。
 それから暫くして、包丁の音が止まった。
「刺斬が作るのは、もっと色々入ってるよな」
「そうなの? オレ分からない」
「何か、探せ」
 ばたばたと、冷蔵庫を開ける音と、戸棚や引き出しを開ける音が続く。
 数分後、Ⅸ籠がヘンテコな叫び声を上げて騒ぎ始めた。
「それをオレに近づけるな!! 殺すぞ!! あー! 入れるな!」
 ボスのこの取り乱し様は…キノコかな…。
「ダメだっての、食え。…あっ、コラ! てめぇ!」
 ガシャン!
 部屋に響く、硬質な高音。
 皿を割ったなと、刺斬は察した。
 キッチンからこちらを覗く2人の顔が視界の端に映る。2人が怪我をしていないか心配だったが、こちらに気を使わせる気がして、寝たふりをした。2人はぼそぼそと小声で囁き合いながら、顔を引っ込めた。
 間もなくして、カチャカチャと割れたであろう皿を片付ける音がする。指を切らなければいいが。
「これ、刺斬はいつもカレーに入れてるぜ?」
「刺斬には、入れるなって言った!」
「お前が、気付いてねえだけだ。いつも入ってんだよ」
 あー! 鎖さん、何で言っちゃうんスか。ボスには秘密にしてたのに!
「刺斬に訊くといつも、大丈夫ですって言ってたぞ!」
「その大丈夫ってのは、お前が気付かねえように入れたから食えるよって意味だろ」
「…刺斬め…!」
 ……。それを言っては…。
 身も蓋も無い。刺斬は溜め息をした。次はどうやって気付かれないようにキノコを入れようか。警戒心が高まったⅨ籠を欺くのは相当に苦労しそうだった。
「これも入れていい?」
「あ? ああ、それか。まあ、いいんじゃねえ?」
 今度は何を入れたのか。鎖が断らないのだから、問題ないものだと信じたい。
 他にも何か入れているようだった。でも、2人の話し声からそれを窺い知ることはできなかった。
「隠し味に、果物入れるといいって刺斬が言ってたな」
 鎖が思い出したように言った。
 鎖さん覚えていてくれた。林檎摩り下ろして入れてくださいね。
「う~ん…。何入れたんだったかな…」
 そこは覚えてないのか。頑張って思い出してください。
「忘れちまったなあ。…とりあえず、これ入れるか」
「いくつ入れるんだ?」
「5本でいいんじゃねえ?」
 本!? 本単位で数えるもの!?
 刺斬は目を見開いて、思考をフル回転させた。冷蔵庫に入っている果物で、本単位で数えるものを必死に検索する。
 …バナナだ。
 カレーにバナナを入れるのは上級者向けだ。一歩間違ったらとんでもないことになる。5本は間違いなく適正範囲を超えている。
 これはまずい。2つの意味でまずい。
 やがて部屋に漂ってくる、むせ返るほどの甘ったるいトロピカルな香り。自己主張の強いバナナが猛威を振るい始めた。
 せめて…、せめて換気扇回して欲しいっス…。
 至近距離にいる2人の嗅覚はどうなっているのか。もうすでに麻痺しているのか。
「あー、あったあった、これだ。これ入れるとカレーになるんだ」
 鎖がカレールーを見つけたようだ。というか、カレールーを見たからカレーにしようと計画したのではないのか。もし見つからなかったらその煮込んだものはどうするつもりだったのか。
 刺斬は棚の手前にカレールーの箱を置いておいてよかったと心から思った。
「ねぇ、この石みたいなの、全部入れるのか?」
「知らねえ。テキトーに入れちまえ。もう1箱ある」
 鎖さん? 鎖さん!? 箱の裏に使用目安が書いてあるのに! 強行突破はやめてください!
 鼻に纏わり付くバナナの香りが、鼻の奥をツンと刺激させる香辛料交じりに変ってきた。
「何か、刺斬が作るやつとちょっと違うけど、刺斬が美味しいって言ってたのいっぱい入れたから大丈夫だな!」
 そうですね、ボス。多分、ちょっとどころじゃないですけどね。過ぎたるは猶及ばざるが如しという言葉、覚えましょう。
「今まで作ったことねえカレーを作ったからな。きっと刺斬は驚くだろうぜ!」
 挑戦することはいいことっス。でも鎖さん、その勇気ある行動は無謀です。すでに十分驚いてます。肝も冷えてます。
 足音が近づいてくる。
「刺斬ー! よく寝たか?」
 鎖が快活な声を上げて戻ってきた。
 いや、全く。全然眠れてないっス。
「顔色悪ぃな」
 ええ、お陰様で…。
「カレーっぽいの作ったぞ!」
 自信ありげな笑顔で、Ⅸ籠が見上げてきた。
 っぽい…。広義的にはカレーに分類されるとボスも思ってるんですね…。
 刺斬は、極力笑顔を浮かべるようにする。何にせよ、2人は頑張ってくれたのだから。
 縄を解かれて食卓の席に案内される。卓の上には鍋が置いてあった。
 米は炊かなかったのか。まあ、それはこの際気にしない。2人も忘れていそうだった。
 鎖が鍋の蓋をとる。
 中身を見て、刺斬は目が点になった。まず目に入ってきたのは、青々と茂る、まるで小さな樹だった。
 何でブロッコリーが丸ごと入ってるんスかねえ!? 飾りつけ!? 飾りつけのつもりっスか!? 豪快で許される規模じゃないっスよ!?
 バナナの強い香りに誤魔化されていた。嗅ぎ分けると青臭い。
 あろうことか、カレーのようなものを皿に盛り、その上にブロッコリーを乗せた。それを目の前に差し出される。
 …何故。これを…齧れと…?
 嫌でも存在を見せ付けてくるブロッコリーは見なかったことにして、刺斬はカレーに混ざる具を注視した。
 この大きめの具…白い半透明。これは…大根…。もしや、俺がよく食べてるって言ってたのはこれっスか。大根もバナナに並ぶ調整が難しい具材だ。…まあ、これくらいなら。俺を思ってくれてのことだし。…ん? この白い玉のようなものは何スか? 小粒のじゃが芋にしては小さ…いや、これは…ボスの好物の白玉団子!? しかも、こし餡が入ってるやつ! 鎖さん、何故ボスを止めなかった…!? …あ、これは輪切りのピーマン……じゃねぇ!? 何だ!? 何でキュウリ!? 嘘だろ!? まさかピーマンと間違えたのか!?
 もう冷静でいられなかった。
 他にも、カレーには似つかわしくない具が見えるが、もうその正体を知る勇気が無い。
 想像を絶する摩訶不思議な状況に身が震える。これは只事ではない。
 刺斬は数回深呼吸して、気分を落ち着かせようとした。笑顔にしている口の端が引きつる。
 期待の眼差しを向ける2人を裏切るわけにはいかない。
 恐る恐るカレーのようなものを口へ入れる。
 今まで数々の修羅場も死線も越えてきた2人だ。万にひとつでも、可能性はあるかもしれない。
 世の中、神はいなくても、奇跡が起きるときはある。
 ……起きなかった。
 ガタンと音を立てて、刺斬はテーブルに突っ伏した。
 形容詞にしがたい、例えようのない味だった。喉に力が入る。風邪のせいで狭い気道が、更に締まるような息苦しささえ感じる。
 すごい。こんな味初めてだ。全身の毛が逆立ち悪寒が走る。体が本能レベルで危険を感じて飲み込むのを拒否してる。
「よかったな、鎖。刺斬、喜んでるぞ」
 Ⅸ籠が鎖に声をかける。
 ええ。お気持ちは大変嬉しいです。…お気持ちだけは。
 自分が今、どういう感情なのか分からなくなった。あらゆる感情が高まると、人は無心になれる。
 刺斬は、手近にあった取り分け用の小皿を手に取る。大変心苦しいが、この現実を2人に伝えなければいけない。
 カレーのような何かを小皿に盛ると、2人の前にそれぞれ差し出した。
 2人は各々それを食べる。
 自信満々だった表情が見る見るうちに険しくなっていく。鎖は口元を押さえ、Ⅸ籠はゲホゲホと咽た。
 青ざめた顔で2人が頭を垂れる。
「…ごめんなさい…」
 2人の声が、消え入るようなか細い声で重なった。
 
 
 
 
 
終わる


闇界

Ⅸ籠と刺斬のお話。


 昏い夕刻。
 毒素を含んだ大気は、沈みかける太陽の光で濁った血のような色に染まっていた。
 崩れた高層ビル群の隙間、底が見えないほど深い亀裂が入ったアスファルトの上を、Ⅸ籠は軽い足取りで歩いていた。
 途中まではギ・ターレン・カルクスで飛んで来たけれど、あの巨体を待機させておける場所がこの先に無いことを知っている。傾いたビルを薙ぎ倒して停まらせられなくもないが、この地をこれ以上破壊するようなことはしたくなかった。
 そこかしこに残る大型の機械や崩れたビルから突き出た鉄骨は、風化して殆ど原型を失っている。時々吹き抜ける風が、獣の唸り声のような音を立てて過ぎ去っていった。
 ここはかつて、世界の頂点にまで昇り詰めた工業国家であり、最先端の科学技術、最高の経済力、最強の軍事力を有していた。
 けれど今は、静かで誰も居ない、滅んだ国。それでもⅨ籠にとっては無下にできない場所だった。自分が生まれた国だから。
 本当はひとりでここに来たかった。けれどそれが許されるわけなく、後方には刺斬が付いて来ている。見失わない程度に距離をおいて付いて行くということで、お互いの譲歩となった。
 
 刻々と景色は色を変え、暗くなっていく。それに合わせるように、Ⅸ籠の右目は世界を正確に捉えるようになる。
 夜はいい。世界が明瞭に見える。昔、人は夜になると何も見えなくなると教えてもらった。だから暗闇を恐れるということも。そう教わっていたが、夜になると見えなくなるという感覚がⅨ籠には分からなかった。
 その代わり、目を閉じることには少し恐怖を感じるときがあるし、視界を塞がれるのは何よりも大嫌いだった。それと似たようなものかなと勝手に想像している。
 Ⅸ籠は、暗くなっていく世界と相反するように、普段は立てることの無い足音をわざと大きくして、歩みの速度を落としていった。
 刺斬は鎖よりも耳が利くと言っていた。視界が悪くてもある程度は音で周囲を視ることができる、と。だから、足音を立ててゆっくり進めば刺斬は迷わないはず。
 倒れた巨大な高層ビルのすぐ近くに差し掛かり、Ⅸ籠は不意に飛び退いた。
「っ…!」
 心臓が高鳴って身構えそうになった。割れたガラスに映った自分の顔を、あいつと見間違った。気の昂ぶった身体を抑えるように息を吐く。
 昔は、あいつの顔を見ると安心したりもした。
 でも、今は…。
 
 自分の顔が嫌いになったのも、あいつのせいだった。部屋に自分の姿が映るようなものは置かないし、鏡のある場所も避けていた。
 自分はあいつのクローンだから、同じ顔なのは当然だと分かっている。オリジナルとして、兄として、存在しているあいつのことが、憎たらしいのに大好きで、様々な感情がよく分からない錯覚を起こしてしまう。それが嫌で、自分の顔に傷をつけたことがあった。周りからの騒がれようが大事になって、上から怒られた。その時の顔の傷はとても深かったのに、もう跡形もなく消えている。少しくらい傷痕が残ってくれたほうが、よかったのに。
 
 倒れた巨大な高層ビルを通り過ぎるころには、辺りはすっかり暗闇に包まれていた。一切の光を許さない暗黒の世界は、この右目にとても鮮明に映る。研ぎ澄まされる感覚は、鋭利に、精密に。拡がる意識は、万物を掌握できるような、この闇そのものが自分の一部のような。
 刺斬にはもうとっくに見えない世界になっているかもしれない。そう思った矢先、後方の離れた所からゴツとぶつかる音がして「…ってぇ」と小さな呻き声が聞こえた。
 Ⅸ籠は足を止めた。これ以上進むのは、刺斬には難しいだろう。この先は、更に崩壊が酷く、瓦礫の丘をいくつか登ることになる。
 ここから、あと5キロメートル進んだ先にある建物が、自分が造られた研究施設だった。
 そこまで行くつもりだったが、行ったところで研究に使っていたであろう機材の残骸しかない。執着するような私物があるわけでもないし、感傷に浸れる思い出があるわけでもない。
 自分の気持ちと刺斬を秤に掛ければ、自ずと刺斬に傾く。
「刺斬」
 振り返って呼ぶと、遠くから「はい」と聞こえた。
 Ⅸ籠は早足に通ってきた道を戻る。刺斬のすぐ前まで来ても、刺斬にはⅨ籠の姿が見えていないらしく、反応が無い。刺斬はいつも付けているヘッドフォンを外していた。その様子から、聴力だけを頼りに足場の悪い道をここまで付いて来たんだと知れた。こんな芸当ができるのは、刺斬だからなんだろうとⅨ籠は思った。
「戻るぞ」
「…っと。ボス、そこに居ます?」
 再び声をかけると、刺斬は驚いて身体を揺らした。
「暗視鏡、持ってこなかったのか?」
「あれ、嫌いなんで」
「そんなんで歩けるのか? 転ぶぞ」
「はははっ。ま、何とかなります」
 刺斬は笑いながら、小型の懐中電灯を取り出した。暗闇に、ぽつりと明かりが灯り、転がっているコンクリート片を照らし出す。それと同時に、刺斬の張っていた気が緩む気配がした。
 急な光の刺激に、Ⅸ籠はぎゅっと目を閉じた。この広大な闇の世界に、その光は今にも呑まれそうで、頼りないものに見える。こんなものでも人は安心するんだなと、何の気なしに思った。
 Ⅸ籠は、そんなもの持っているならもっと早く使えばよかったのにと言おうとしてやめた。きっと、ひとりで来たかったという自分の我侭に、刺斬は気遣ってくれて極力存在を感じさせないようにしていたんだろう。
「散歩はもういいんですか?」
「ん。付き合せて悪かった」
「お気遣いなく」
 刺斬は穏やかな表情で言った。
「ボス、足音立てていましたね。お陰で見失わずにすみました。鎖さんなら、この暗さでも少しは見えるかもしれませんが、俺は全く見えません。お気遣いいただいて感謝です」
「……」
 Ⅸ籠はどう応えればいいのか分からずに、口を噤んだ。刺斬は優しい笑顔のままだった。
 その様子を見流して、Ⅸ籠は歩き始めた。
 戻る道のりは、来るときよりも少しだけ速く進む。出生の地の滅び様を見回しながら、記憶に残っている景色と重ね合わせていた。
 電波塔が根元から折れて大きく傾いているのが遠くに見える。あそこは、兄と行ったことがある。遊び半分で研究員の目を盗んで施設を抜け出して、最後はあそこで捕まった。その時に、兄も自分も全く同じ服装をしていて、研究員は見分けが付かず、自分は暫くの間アーミィと兄の名で呼ばれていた。兄は勘違いしている研究員も困惑する自分のことも、面白がって高みの見物を決め込んでいた。
 Ⅸ籠は、少し後ろを歩く刺斬に顔を向ける。
「刺斬は、オレだって分かる?」
「へ?」
 刺斬が疑問符を浮かべて、目を大きくする。
「オレとあいつのこと、見間違わないか?」
「あいつ? …ああ…」
 刺斬はⅨ籠の言葉足らずの話から、何を言っているのか察したようだった。
「はは、そうスね。目の色しか違いが無いんで、目の色まで変装されたら、難しいかもしれません。こんな暗がりでは、見分けはできないでしょうね。…っと」
 話しながら、刺斬がアスファルトの亀裂に足をとられて傾いた身体のバランスをとる。
「でも俺も鎖さんも、ボスがどういう行動するか分かってるんで、間違うことはないですよ」
「何だそれ」
「クロウさんはクロウさんってことです。人を見分けるのは、見た目だけじゃないんスよ」
「ふうん…」
 Ⅸ籠は、よく分からないまま相槌を打つ。
 そういうものなんだろうかと、半信半疑だった。
 けれど、もやもやとした気持ちは軽くなっていることに気が付いて、自然と微笑んだ。
 
 
 
 
 
終わる


楽しいこと、全力でやれよ

日常の雑記 - 日記

弐寺 永久少年 刺斬今日は病院帰りにゲーセンへ。
10分くらいの休憩とりながら、20回もプレイした^p^
1日にこんなにプレイしたの、どれくらいぶりだろう。最初のころは調子悪かったけど、脳のスイッチ入れ替わってあとは普通に出来た。
SINOBUZで復帰したばかりのときに落としてしまった曲をいくつかクリアして、強制的にASSISTクリアになってた曲を全部クリアした。
 
 
弐寺23th曲の『Aublia』をプレイして、「この曲、刺斬っぽいな」なんてぼんやり考えてた。ストイックで力強さと優しさ兼ねてる感じ。かっこいい曲だなぁ。
そのキャラが登場する曲がそのキャラのイメージなだろうけど、全く関係ない曲でも自分の中のイメージに合ってしまう場合ってあるよね。
自由な想像力でいいと思うんだ。感性って大事。有り得ないだろなんて他の人が思ったとしても、それはその人の中のイメージなのだから仕方ないことだし、だからって人の感性を否定するのは愚かな行為。
誰だって、自分の中だけの世界をもってる。それがお互いにいい影響になるか、受け入れられないかは、個々の差だから当たり前。
影響を受ければ世界は動くし、暗転になるか好転になるかも、その人次第。
物事って、全てがそうだよね。何だか不思議。
 
ついでと言ってはなんだけど、5鍵の最後の最後を飾った「one seek」は是非一度は聞いて欲しい。特にロングの方。
私たちの音楽が人々に希望を与えられたなら…という想いが籠められてる。泣ける。
うずしおは、音ゲーからいっぱいいっぱい楽しさも希望ももらってるよ。
本当に好きだから、こうして戻ってこれた。
6年間のブランクは埋められるものではないし、ゲームも絵描きも小説書きも、これからどこまで続けられるかも分からないけれど。
だから今、ここにいる限り、全力でいられる。
人間、いつ死ぬかわからんしな^p^


グラビティ

弐寺 永久少年 グラビティ:ガルフエッジ重圧を感じさせるような存在感があるのに、仕草や言動が可愛い印象が強い。
野生動物のような感じがするのも好き。
公式で腹ペコキャラになってしまった。だが、それも良い。


重力

日常の雑記 - 日記

グラビちゃ。
腹ペコキャラは餌付けしやすいとか、すごい強いんだけどお腹が空くと急に弱くなるとか、もうそういうイメージになってしまった…^p^
それはそれで可愛いから良し。
 
個人的にグラビティの握力は片手でメロン潰せるくらいだといいな。
(ギガデリはリンゴを潰せる。アーミィは不明)
 
【つづきを読む】


ぬくい

日常の雑記 - 日記

優しい人はいるけれど、そういう人に深く接されると、どうしていいか分からなくなる。
 
優しさをもらってばかりでは、気が引けてしまう。
 
嫌というわけではなくて、申し訳ないと思ってしまう。


陰に生きる影鴉

日常の雑記 - 日記

弐寺 永久少年 Ⅸ籠目に見えるそれのせいで、苛立ち嫉妬する。
自分が劣ってる気がして、焦り悩んで苦しむ。
そんな環境であることを、誰に知られることも無く。
自分にしか見えない暗闇の中で、傷口に爪を立てる。
 
そういう、自分との戦いだなと思った。
人は、他人との違いに気付いたとき、自分を自覚する。
 
よいも悪いも、個性だよ。
それで割り切れば、きっと気持ちは軽くなる。
そして、吹っ切れた自分を褒めてあげるべき。
 
 
 
もっと絵を描く時間が欲しいっス。
でも、Ⅸ籠ちゃん可愛いお陰で鶏肉おいしい。
 
米の存在はあるのに、アーミィたちは米を知らない。
この事を考えると、Ⅸ籠は巨大兵器を造れる国家の組織在住だから、財に関しては何一つ困ってないと推測される。
つまり、美味しく炊けてる米を食ってる(強引なこじつけ)
Ⅸ籠の身体能力が最強たるアーミィを越えてるのは、改良クローン云々よりも、米食ってるからだな。
米は、最高の食べ物。
みんな、米食べよう。
 
 
今日は弐寺25のエキスパートにて、シークレットフォルダの曲解禁してきた。
ノーマルだけ。ハイパーなんて4曲連続でやったら、うずしおの指が変な方向に曲がりかねない。
運指なんて意識してないから、いつも指使いはそん時そん時そん調子。